はじめに:経営者の「思い」が形にならない理由
中小企業の経営者として、事業に対する熱い思いや情熱を持っている方は多いでしょう。しかし、その思いを従業員が共感できる具体的な目標やビジョンとして言語化することは、想像以上に難しいものです。
私たちem株式会社は、この「思いをカタチにする」プロセスを支援しています。その最初の一歩として最も重視しているのが、「想像力を膨らませる」こと、つまり未来の姿を明確に描き出すことです。
想像力は単なる夢想ではありません。それは目標達成を確実にするための、経営における羅針盤なのです。本記事では、私たち自身が経験した組織崩壊の危機を基に、想像力を使ってどのように確かな未来を描き出すのかをお伝えします。
理念の不在が招いた組織崩壊の危機
何もない状態からのスタート
私は事業を立ち上げた当初、理念もビジョンもなく、具体的な事業計画もないまま、友人と共に「なんでも屋」としてスタートしました。その後、電気工事業を主な事業とする会社を経営するようになり、組織も少しずつ成長していきました。
一見すると順調に見えたかもしれません。しかし、組織が大きくなろうとするにつれて、深刻な問題が次々と浮上してきたのです。
伝わらない方針、広がる解釈のズレ
最も困ったのは「人の管理や教育が思うようにいかない」という問題でした。経営者である私の中では一貫した方針を持っていたつもりでした。しかし、それが社員には正確に伝わっていなかったり、社員によって解釈が違っていたりすることが頻繁に発生したのです。
例えば、顧客対応の方針についても、私が意図していたこととは異なる対応を社員がしてしまうことがありました。注意をすると「そうだと思っていました」と返ってくるのですが、実際の行動は私の考えとはズレていました。
この状況が続くと、経営者としては「なぜ伝わらないのか」とイライラし、社員は「何を求められているのかわからない」と混乱するという悪循環に陥ります。
組織崩壊という最悪のシナリオ
共通して目指すべき「未来の姿」が明確に描かれていなかったため、私の方針も社員にとっては抽象的で、行動に一貫性を持たせることができませんでした。未来の羅針盤がない状態では、どれだけ経営者が熱意を持って語っても、それは具体的な行動指針にはならないのです。
結果として、最終的に社員が全員辞めてしまうという極めて厳しい状況に陥りました。これは私にとって痛切な経験であり、同時に重要な教訓となりました。
「組織を長く存続させるためには、理念・目的・ビジョンが不可欠である」ということを、私は身をもって学んだのです。最初にそれを持たずに起業してしまったため、組織が脆弱で、社員が定着しなかったのです。
再生への第一歩:自社の理念づくり
この危機を乗り越えるために、まず取り組んだのが「自社の理念づくり」でした。理念を明文化し、経営の軸とすることが、組織を強くするために必要だと認識したのです。
この経験があったからこそ、私たちは思いはあるが上手くかたちにできていない中小企業の経営者の「思いをカタチにする」お手伝いができると確信しています。同じ痛みを知っているからこそ、本当に必要な支援ができるのです。
想像力による目標設定とは何か
想像力の定義
私たちem株式会社が提供価値の筆頭として掲げる「想像力を膨らませる」は、「新しい可能性を常に探求し、未来の姿を描くことで経営者のビジョン構築をサポートする」ことを意味します。
これは特に、組織を拡大・拡充したい30名以下の会社の経営者の「思い」を「カタチにする」ための最初の一歩として位置づけています。
想像力とは、単に「こんな会社にしたい」という漠然とした願望を抱くことではありません。それは経営の軸となる理念とビジョンを構築し、すべての行動の方向性を定める、戦略的なプロセスなのです。
想像力が果たす3つの役割
想像力による目標設定は、次の3つの重要な役割を果たします。
1. 可能性の探求
既存の枠組みや現在のリソースに囚われず、市場や技術、組織のあり方における新しい可能性を最大限に探求します。「今できること」だけでなく、「未来にできること」を描くのです。
例えば、現在は電気工事だけを行っている会社が、将来的には環境エネルギーのトータルコンサルティングを提供する企業になるというビジョンを描くことができます。今の延長線上ではなく、新しい可能性を探るのです。
2. ビジョンの可視化
経営者が持つ熱い思いや情熱を、従業員が共感し、目標として明確に目指せる「未来の姿」として具体的に描きます。
「お客様に喜ばれる会社にしたい」という抽象的な思いを、「地域で最も信頼される○○のプロフェッショナル集団として、年間○○件の感謝の声をいただける企業になる」というように、誰もがイメージできる形にするのです。
3. 理念の軸の確立
描かれた未来の姿と、その実現に向けた目的を明文化することで、組織の行動や判断に一貫性を持たせるための強固な軸を確立します。
この軸があれば、私が過去に経験したような「方針が伝わらない」「解釈がズレる」という問題を防ぐことができます。なぜなら、すべての判断基準が明確になるからです。
本質的な課題を特定する力
想像力は、現在の組織が抱える課題の本質を特定するためにも不可欠です。理想の未来の姿が明確になることで、現状とのギャップが浮き彫りになります。
私たちは「探究心で掘り下げる」という価値観を持ち、表面的な課題に留まらず本質的な問題の解決に取り組んでいます。例えば、「社員の離職率が高い」という表面的な課題の裏には、「理念が浸透していない」「目指すべき未来が共有されていない」という本質的な問題があることが多いのです。
想像力で理想像を描くことで、組織のパフォーマンス低下や離職といった表面的な課題の裏にある本質的な問題を明確に特定することができます。
想像力を実現へと導く戦略
創造力で実行可能な計画に変える
想像力によって描かれた未来の姿は、具体的な行動計画へと変換されなければ意味をなしません。絵に描いた餅で終わらせないためには、「創造力で実現する」というプロセスが必要です。
私たちは「アイデアを形にし、具体的な行動計画と実行支援により理想の企業文化を創り上げる」ことを重視しています。例えば、「地域で最も信頼される企業になる」というビジョンを掲げたら、それを実現するための具体的なステップを設計します。
顧客満足度調査の実施方法、社員教育プログラムの内容、コミュニケーション改善の仕組みなど、抽象的なビジョンを日々の行動レベルまで落とし込むのです。
また、創造力は「既存の枠組みにとらわれず新しい経営モデルの構築に挑戦する」という革新的な行動を促します。想像力が新しい可能性を探るからこそ、革新的な挑戦が可能となるのです。
共感と信頼で組織をつなげる
描かれたビジョンが組織全体に浸透し、社員の主体的な行動を促すためには、強い信頼関係と共感が土台となります。
私の過去の経験が示すように、経営者の方針が社員に伝わらなければ解釈のズレが生じます。想像力で描かれたビジョンは、「経営者の思いに寄り添い、従業員との架け橋となる」共感力によって、組織全体の一体感として共有されます。
ビジョンを伝える際には、なぜそのビジョンを掲げるのか、経営者自身の体験や思いを丁寧に語ることが重要です。単に「こうなりたい」と言うだけでなく、「なぜそうなりたいのか」という背景を共有することで、社員の共感を得られるのです。
そして、ビジョンに対する信頼性を担保するためには、「常に正直で透明性のある関係を構築し、長期的な信頼関係を育む」という誠実な姿勢が不可欠です。誠実な環境で伝えられたビジョンは、社員にとって揺るぎない目標となります。
継続的な進化を促す
設定された目標やビジョンは、環境の変化に応じて常に最適化されなければなりません。一度決めたら終わりではなく、常に見直しと改善が必要なのです。
私たちは「私たち自身も成長し続けることでクライアントにも最適な成長の道筋を示す」という向上心を持ち、描かれたビジョンに向かう最適な道筋を常に更新し続けています。
また、「常に前向きに新しい知見を取り入れる」好奇心を発揮することで、ビジョンが陳腐化しないようにしています。想像力によって描かれた未来が、常に最新の市場環境に適合しているかを検証し、必要に応じてビジョンを再調整するのです。
想像力がもたらす持続可能な成果
働く人々のやりがいと企業の成長
想像力によって明確に描かれた理念とビジョンは、組織の軸となります。この軸が確立されることで、組織はかつて私が経験したような脆弱性を克服し、強靭な企業文化を獲得します。
私たちは理念の可視化と習慣化を通して、働く人々のやりがいを高め、持続可能な企業文化を育むことを目指しています。社員がビジョンに共感し、主体的に行動することで、日本の中小企業が持つ潜在的な価値を最大限に引き出し、企業の成長と発展を促進することが可能になります。
具体的には、明確なビジョンがあることで、社員は自分の仕事の意味を理解できます。「なぜこの仕事をするのか」が明確になると、単なる作業ではなく、大きな目標に向かう一つのステップとして自分の仕事を捉えられるようになるのです。
日本経済全体への貢献
私たちの活動は、単なる一企業のコンサルティングではありません。理念の軸づくりを通じて中小企業を強くすることで、最終的には日本経済全体の活性化に貢献することを目的としています。
日本の企業の99%以上は中小企業です。これらの企業が強くなれば、日本経済全体が活性化します。そして中小企業が強くなるためには、明確なビジョンと理念が必要なのです。
共創力による「思い」の具現化
「思いをカタチにする」プロセスは、単なる委託ではありません。それは「相互の強みを活かし、経営者と共に新たな価値を創造する」共創のパートナーシップです。
想像力による目標設定は、この共創の始まりです。経営者の持つ熱い思いと、私たちのビジョン構築の専門性が融合することで、一人では到達できない、最高の未来の姿が描かれます。
私たちは外部の専門家として客観的な視点を提供しながらも、経営者の思いに深く寄り添います。経営者自身が気づいていない可能性を引き出し、それを具体的なビジョンとして形にするのです。
まとめ:想像力は経営の羅針盤
「思いをカタチにする」ための最初の一歩は、過去の失敗の教訓を活かし、理念という軸に基づいた「想像力」による目標設定を行うことです。
想像力は、経営者の抽象的な思いを、新しい可能性を探求した具体的な未来のビジョンへと変換します。このビジョンが明確になることで、組織は目指すべき羅針盤を獲得し、かつて私自身の組織で生じたような方針の不浸透や解釈のズレを解消する土台が築かれます。
そして、この想像力で描かれた目標は、創造力で具体的な行動計画となり、共感力で組織全体に共有され、誠実性をもって実行されます。
組織を拡大・拡充したい経営者の皆様にとって、想像力は脆弱性を克服し、働く人々のやりがいに満ちた持続可能な成長という最高の形を実現するための、最も強力なエンジンとなるのです。
想像力による目標設定は、彫刻家が持つ、石材の中に眠る完成した作品の姿を最初に完全に「見る」能力に似ています。この「見えた」未来の像が明確でなければ、どの部分を削り、どの部分を残すべきかの判断はできません。想像力は、経営者の思いという原石の中から、組織が真に目指すべき、唯一無二のカタチをあらかじめ発見する力なのです。
私たちem株式会社は、あなたの思いをカタチにする最初の一歩を、共に踏み出すパートナーでありたいと考えています。明確なビジョンを描くことから、すべては始まります。
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em株式会社(イーエムカブシキガイシャ)
代表取締役 郷司 光
経営理念:そうぞうの力で未来を描く
Purpose:中小企業の魅力を引き出し国力を上げる
Vision:革新的な日本型経営モデルの確立
Mission:思いを形にし理想の企業文化を創造
所在地:〒486-0817 愛知県春日井市東野町3丁目29番地7
Webサイト:https://em.80462.co.jp
お問い合わせ:https://em-company.jp
事業内容:
DX化・WEB集客サポート
企業理念浸透支援
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