はじめに:方針が伝わらない組織の落とし穴
企業経営において、経営者が掲げる方針は組織の羅針盤です。しかし、多くの中小企業では、経営者の頭の中では明確な方針があっても、それが社員に正しく伝わっていないという問題が起きています。
「自分ではしっかり伝えているつもりなのに、なぜか社員の行動がバラバラだ」「同じことを何度も説明しているのに、理解してもらえない」
このような悩みを抱える経営者は少なくありません。問題の本質は、方針そのものではなく、「伝え方」と「受け止め方」のズレにあります。
このズレを解消し、経営方針を組織の隅々まで浸透させるために必要なのが、「誠実性」と「共感力」という二つの要素です。誠実性は組織内の信頼関係を築き、共感力は経営者の思いを社員の心に届ける架け橋となります。
本記事では、私たちem株式会社が理念経営の支援を通じて培ってきた経験をもとに、この二つの力がいかに組織を強くするかをお伝えします。
理念なき組織が迎えた危機:私たちの原点
方針が伝わらなかった過去の教訓
私たちem株式会社の代表は、かつて理念もビジョンもない状態で事業をスタートさせました。友人と共に「なんでも屋」として始めた事業は、やがて電気工事業へと方向転換し、社員を雇用する会社へと成長しました。
当時は「自分の中では方針は一貫している」と思っていました。しかし実際には、その方針は社員にまったく伝わっていませんでした。ある社員は独自の解釈で動き、別の社員はまた違う理解で行動する。経営者の意図とは異なる方向へ、組織がバラバラに進んでいたのです。
組織崩壊という痛切な経験
この状態が続いた結果、起きたのは組織の崩壊でした。社員全員が辞めてしまうという、経営者にとって最も厳しい結末を迎えたのです。
この経験から学んだのは、「組織を長く存続させるためには、明確な理念と一貫した方針が不可欠である」ということでした。どんなに優れた技術やサービスがあっても、組織の軸となる理念がなければ、人は集まらず、定着もしない。この教訓が、現在の私たちの事業の原点となっています。
私たちは自らの失敗経験を通じて、「経営者の思いをカタチにする」ことの重要性を身をもって知りました。だからこそ、同じ悩みを抱える経営者の皆様に、理念づくりと組織への浸透を支援しているのです。
誠実性が築く信頼の土台
透明性のある情報共有が組織を強くする
経営方針を浸透させるための第一歩は、誠実性を貫くことです。誠実性とは、常に正直で透明性のある関係を構築し、長期的な信頼関係を育む姿勢を意味します。
多くの経営者は、「社員に余計な心配をさせたくない」と考え、経営状況や方針決定の背景を詳しく伝えないことがあります。しかし、情報が不透明だと、社員は不安を感じ、経営者の言葉を疑うようになります。
私たちが支援する企業では、まず経営者に「なぜこの方針を選んだのか」「今、会社はどんな状況にあるのか」を正直に社員へ伝えることをお勧めしています。透明性のある情報共有は、社員が方針を理解し、納得するための土台となるのです。
長期的な信頼関係が生み出す効果
誠実な姿勢を続けることで、社員は経営者を信頼するようになります。この信頼関係があれば、たとえ困難な局面でも、社員は経営者と共に乗り越えようとします。
例えば、市場環境が変化して事業の方向転換が必要になった場合、信頼関係がある組織では、社員は「なぜ変更が必要なのか」を理解し、前向きに受け入れます。一方、信頼関係が薄い組織では、「また方針が変わった」と不満を持ち、抵抗が生まれます。
私たちが提供する理念経営の支援では、単に理念を作るだけでなく、その理念を実現するために必要な誠実なコミュニケーションの仕組みづくりもお手伝いしています。
チームワークを機能させる正直さ
誠実性は、チームで課題解決に取り組む際にも不可欠です。プロジェクトが思うように進まないとき、問題が発生したとき、正直に状況を共有できる環境があれば、チーム全体で解決策を見つけることができます。
逆に、失敗を隠したり、都合の悪い情報を伏せたりする文化があると、問題は深刻化し、最終的には大きな損失につながります。誠実性を貫くことで、小さな問題のうちに対処でき、組織全体の生産性が向上するのです。
共感力が生み出す組織の一体感
経営者の思いを社員の心に届ける
誠実性が信頼の土台を築くのに対し、共感力は経営者の思いを社員の心に深く届ける役割を果たします。
経営方針の背景には、必ず経営者の強い思いがあります。「お客様により良いサービスを提供したい」「社員に安定した職場を提供したい」「地域社会に貢献したい」といった思いです。しかし、この思いは抽象的で、社員にとっては遠く感じられることがあります。
共感力とは、この心理的な距離を縮め、経営者の思いを社員が「自分ごと」として受け止められるようにする力です。私たちem株式会社では、「共感力でつなげる」という価値を掲げ、経営者と従業員の架け橋となることで、組織全体の一体感を創出しています。
解釈のズレを解消する感情の共有
過去に私たちが経験した組織崩壊の最大の原因は、「社員によって方針の解釈が違っていた」ことでした。これは、方針が頭では理解されても、心では受け止められていなかったからです。
共感力を活かしたコミュニケーションでは、経営者がなぜその方針を持つに至ったのか、どんな経験や価値観に基づいているのかを、感情レベルで共有します。すると、社員は方針を単なる業務命令ではなく、「会社が大切にしている価値観」として理解するようになります。
例えば、ある製造業の経営者が「品質第一」という方針を掲げていたとします。この方針を「不良品を出すな」という命令として伝えるだけでは、社員は「怒られないように気をつけよう」としか思いません。しかし、経営者が「過去にお客様に迷惑をかけた経験があり、二度とそのような思いをさせたくない」という背景を共有すれば、社員は品質へのこだわりを自分の価値観として受け入れるのです。
やりがいの向上と能動的な行動
共感を通じて方針が深く理解されると、社員は自分の日々の業務が会社の大きな目標にどうつながっているのかを実感できます。これにより、働く人々のやりがいが高まり、指示を待つのではなく、自ら考え行動するようになります。
私たちが支援する企業では、理念の浸透過程で社員の表情が変わり、主体性が生まれる瞬間を何度も目にしてきました。共感力を活かした理念経営は、単に方針を伝えるだけでなく、社員の内発的動機を引き出す力を持っているのです。
誠実性と共感力の相乗効果
信頼と共感が生み出す共創の文化
誠実性と共感力は、別々に機能するのではなく、互いに補完し合いながら組織を強くします。誠実性によって築かれた信頼関係があるからこそ、共感を通じた深い相互理解が可能になります。
私たちem株式会社では、経営者と共に新たな価値を創造する「共創力」を大切にしています。この共創を実現するためには、経営者と外部パートナーである私たちの間に、正直さ(誠実性)と相手の立場に寄り添う姿勢(共感力)の両方が必要です。
経営者が自社の課題を正直に開示し、私たちがその思いに共感しながら専門知識を提供する。この相互作用によって、単なるコンサルティングではない、真の共創が生まれます。
理念の習慣化を支える二つの力
私たちの目的は、理念を可視化するだけでなく、それを組織に習慣化させることです。理念を日々の行動に落とし込み、社員一人ひとりが自然と理念に基づいて判断できる状態を作ります。
この習慣化のプロセスでは、誠実性と共感力が不可欠です。進捗状況や課題について正直に報告し(誠実性)、習慣化の過程で生じる社員の負担や疑問に丁寧に耳を傾ける(共感力)。この両輪があって初めて、理念が組織のDNAへと組み込まれるのです。
かつて理念不在で脆弱だった組織も、誠実性と共感力に支えられた理念経営によって、市場の変化にブレない強さを獲得できます。
革新への挑戦を可能にする基盤
誠実性と共感力は、組織が新しいことに挑戦する際の基盤ともなります。既存の枠組みにとらわれず新しい経営モデルを構築するには、リスクを伴う決断が必要です。
このとき、信頼関係があれば、たとえ失敗しても、その原因を正直に分析し、次への学びとすることができます。また、共感があれば、挑戦する理由を社員が理解し、困難な道のりでも一緒に歩んでくれます。
私たちは、誠実性と共感力を基盤として、経営者の革新への挑戦を支援しています。
持続可能な企業文化の構築
方針が組織のDNAになるまで
経営方針を一時的に浸透させることは、それほど難しくありません。しかし、それを持続可能な企業文化として定着させるには、継続的な取り組みが必要です。
私たちが支援する理念経営では、理念を作った後も、定期的な振り返りの場を設けたり、理念に基づいた評価制度を導入したりと、理念が日常に溶け込む仕組みを作ります。この過程で、誠実性と共感力が常に働き続けることで、方針は組織のDNAへと変わっていきます。
外部環境の変化に強い組織
明確な理念と一貫した方針を持つ組織は、外部環境の変化に強くなります。市場が変化しても、技術が進化しても、「自分たちは何のために存在するのか」という軸がブレないからです。
経営者が持つ一貫した方針が、誠実性と共感力によって深く浸透した組織は、変化を恐れません。むしろ、変化を成長の機会として捉え、柔軟に対応できる強さを持ちます。
働く人々のやりがいと組織の成長
誠実性と共感力に基づく理念経営は、働く人々のやりがいを高めます。社員が「この会社で働く意味」を実感できれば、離職率は下がり、優秀な人材も集まりやすくなります。
結果として、組織は持続的に成長し、その成長が地域経済、ひいては日本経済全体の活性化にもつながっていきます。私たちem株式会社は、こうした好循環を生み出すお手伝いをしています。
おわりに:方針を現実に変える二つの力
経営者が持つ一貫した方針を組織に浸透させることは、決して簡単ではありません。しかし、「誠実性」と「共感力」という二つの力を活かせば、必ず実現できます。
誠実性は、正直さと透明性をもって、方針伝達の基盤となる揺るぎない信頼を築きます。この信頼がなければ、どんなに素晴らしい方針も社員の心には届きません。
共感力は、経営者の思いに寄り添い、その背景にある感情を組織内に共有することで、社員の解釈のズレを解消し、組織全体の一体感を創出します。
この二つの力が相乗効果を発揮することで、経営方針は理念として可視化され、習慣化され、やがて持続可能な企業文化へと育っていきます。
私たちem株式会社は、自らの失敗と成長の経験をもとに、経営者の皆様が一貫した方針を組織に深く浸透させ、働く人々のやりがいを高めた強い組織を作るお手伝いをしています。
経営方針の浸透にお悩みの経営者の方は、ぜひ私たちにご相談ください。誠実性と共感力を軸に、あなたの思いをカタチにするお手伝いをいたします。
航海に例えるなら、経営方針は目的地を示す地図です。誠実性は、船長と船員の間に揺るぎない信頼を生み出し、共感力は、船員たちがその目的地を「自分たちの目的地」として心から受け入れることを可能にします。この信頼と一体感が、荒波の中でも船をブレさせず、確実に目的地へ導く力となるのです。
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em株式会社(イーエムカブシキガイシャ)
代表取締役 郷司 光
経営理念:そうぞうの力で未来を描く
Purpose:中小企業の魅力を引き出し国力を上げる
Vision:革新的な日本型経営モデルの確立
Mission:思いを形にし理想の企業文化を創造
所在地:〒486-0817 愛知県春日井市東野町3丁目29番地7
Webサイト:https://em.80462.co.jp
お問い合わせ:https://em-company.jp
事業内容:
DX化・WEB集客サポート
企業理念浸透支援
理念策定フレームワーク作成支援
理念経営実行ツール作成・導入支援
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