理念がなければ組織は脆くなる:創業時に見落としがちな最大の失敗

はじめに:創業の熱意だけでは乗り越えられない壁

起業する時、誰もが夢と希望に満ちあふれています。「この事業で世の中を変えたい」「お客様に喜んでもらいたい」そんな熱い思いを胸に、多くの経営者が第一歩を踏み出します。

実は、創業期というのは経営者自身のエネルギーと情熱だけで、組織が回ってしまうものなのです。社員が数名しかいない段階では、理念やビジョンといった「形式的なもの」がなくても、経営者の思いが直接メンバーに伝わるため、特に問題を感じないかもしれません。

しかし、事業が少しずつ成長し、組織が10名、20名、30名と拡大していく過程で、必ず壁にぶつかります。それは、最初の熱意だけでは乗り越えられない、組織としての根本的な課題です。

私たちem株式会社は、まさにこの壁を身をもって経験してきました。理念を持たずに起業した結果、組織が脆弱化し、最終的には社員が全員辞めてしまうという、経営者として最も厳しい試練を味わったのです。

この記事では、その苦い経験から学んだ「理念の重要性」について、包み隠さずお話しします。創業時に見落としがちな最大の失敗とは何か、そして、それをどう乗り越えればよいのか。同じ悩みを抱える経営者の皆様に、私たちの経験が少しでもお役に立てれば幸いです。

私たちが経験した組織崩壊の実態

軸を持たずにスタートした代償

em株式会社の代表が最初に起業した時のことです。理念もビジョンも、具体的な事業計画さえもありませんでした。友人と一緒に「とにかく何でもやってみよう」という、いわゆる「なんでも屋」としてスタートしたのです。

その後、事業の方向性が変わり、電気工事業を中心とする会社へと転換しました。当時の組織規模は、多い時でも社員2名という小さなものでした。この規模であれば、経営者の「思い」が直接全員に届きます。朝礼で話したことが、その日のうちに現場で実践される。そんな距離感だったのです。

「このくらいの規模なら、理念なんて堅苦しいものは必要ない」

正直、そう思っていました。しかし、この考えこそが、後に組織を崩壊させる原因となったのです。

「伝わっているつもり」が招いた悲劇

組織が少しずつ成長する中で、深刻な問題が表面化してきました。それは、人の管理や教育が思うようにいかないという課題です。

経営者である代表は、自分の中では一貫した方針を持っていました。「お客様第一で」「丁寧な仕事を」「チームワークを大切に」。頭の中では明確でした。

しかし、社員にはそれが全く伝わっていなかったのです。いえ、もっと正確に言えば、社員一人ひとりが、それぞれ違った解釈をしていたのです。

ある社員は「お客様第一」を「何でも言うことを聞く」と解釈し、別の社員は「利益度外視でサービスする」と受け取っていました。「丁寧な仕事」についても、ある人は「時間をかけて完璧に」と考え、別の人は「スピード重視で効率的に」と捉えていました。

同じ言葉を聞いていても、受け取り方がバラバラ。これが「理念が明文化されていない」ことの恐ろしさです。

判断基準がバラバラになった組織の末路

理念やビジョンが明確に定められていないと、組織内のコミュニケーションは「空気を読む」「察する」といった、曖昧なものに頼るしかありません。

すると、従業員が日々の業務で判断を下す際、統一された基準がないため、各自がバラバラの基準で行動するようになります。Aさんの判断とBさんの判断が食い違う。同じ状況でも、昨日と今日で対応が違う。お客様から見ても、社内から見ても、一貫性のない会社になってしまうのです。

さらに問題だったのは、経営者自身の判断も、その時の状況や感情に左右されやすくなっていたことです。忙しい時期には「とにかくスピード優先」と言い、落ち着いた時期には「品質第一で丁寧に」と言う。社員からすれば「結局、どっちなんだ?」という状態です。

組織全体として経営が安定しない。この不安定さが極限に達した結果、私たちは最も厳しい現実に直面しました。

それは、社員が全員辞めてしまうという事態です。

危機から学んだ「組織に不可欠なもの」

社員が辞め、会社が経営的にも厳しくなった時、代表は初めて本気で組織や経営について深く考え始めました。経営書を読み漁り、成功している企業を研究し、何が違うのかを必死に探しました。

そこで気づいたのです。成功している企業には、必ず明確な理念・目的・ビジョンがあるということに。

「組織を長く存続させるためには、理念・目的・ビジョンが不可欠である」

この当たり前のことを、最初から理解していなかったことが、すべての失敗の根本原因だったのです。理念の欠如は、単なる組織運営上の小さなミスではありません。企業の生存そのものを脅かす、最大の失敗だったのです。

この痛切な経験があったからこそ、私たちem株式会社は今、理念構築を専門とし、同じ悩みを抱える経営者の皆様を支援する事業を行っています。

理念がない組織に起こる3つの深刻な問題

問題1:働く意味を見失う社員たち

理念というのは、従業員に対して「なぜこの会社で働くのか」「自分たちの仕事が社会にどのような貢献をしているのか」という、働く意味を提供するものです。

これがない組織では、社員は毎日の業務をこなしていても、自分の仕事が全体の中でどう位置づけられているのか、会社がどこに向かっているのかが分かりません。

例えば、同じ電気工事の仕事をしていても、「地域の安全な暮らしを支える」という理念があれば、それは単なる配線作業ではなく、人々の生活を守る重要な仕事になります。「環境に優しい社会を作る」という理念があれば、省エネ設備の提案は地球の未来を守る活動になります。

しかし、理念がなければ、それはただの「作業」でしかありません。

結果として、働く人々のやりがいが低下します。「この会社で働く意味って何だろう」「自分は何のために毎日頑張っているんだろう」。そんな疑問を抱いた社員は、やがて会社を去っていきます。

私たちの組織で社員が定着しなかった最大の原因も、まさにこれでした。給料や待遇の問題ではなく、働く意味を提供できていなかったのです。

問題2:場当たり的で不安定な企業文化

理念は、組織が長期的に守り育むべき共通の価値観、つまり企業文化の核となるものです。

軸がない組織では、文化は場当たり的で属人的になりがちです。「あの人が言うことが正しい」「今日の社長の機嫌次第」といった、不安定な状態が続きます。

多くの経営者が「組織文化を変革したい」と願うのは、この不安定な文化が原因で、組織が自律的に動けなくなっているからです。社長が見ている時は頑張るけれど、見ていない時はサボる。そんな組織では、いつまでたっても社長が楽になることはありません。

理念がしっかりと根付いた組織では、社長がいなくても、社員一人ひとりが理念に基づいて判断し、行動します。これこそが、持続可能な企業文化です。

理念の不在は、組織を外部環境の変化に対して極めて脆い状態に放置することになります。景気が悪くなった時、競合が現れた時、トラブルが起きた時。軸がない組織は、簡単に揺らいでしまうのです。

問題3:埋もれてしまう会社の本当の価値

中小企業には、必ず独自の価値があります。長年培ってきた技術、お客様との信頼関係、経営者の熱い思い。これらは、大企業にはない、かけがえのない財産です。

しかし、理念が明文化されていないと、これらの価値は組織の外部にも内部にも明確に伝わらず、埋もれてしまいます。

社員は、自社の強みを理解していないため、お客様に自信を持って説明できません。求職者は、会社の魅力が分からないため、応募してきません。取引先は、この会社と付き合う意義を見出せません。

理念を欠いた経営は、短期的な売上や目の前の課題解決に終始しがちです。「今月の数字をどうするか」「目の前のクレームをどう処理するか」。そんなことばかりに追われ、本来持っている可能性を最大限に引き出すための余裕がなくなってしまいます。

私たちも以前は、自社の本当の価値に気づいていませんでした。理念を作る過程で初めて、「自分たちはこんな強みを持っていたのか」「こんな貢献ができるのか」と気づいたのです。

危機を乗り越えて見つけた解決策

最初に取り組んだ「理念づくり」

社員が全員辞め、経営的にも厳しい状況に陥った時、私たちが最初に取り組んだのは「自社の理念づくり」でした。

「今さら理念なんて作って、意味があるのだろうか」

正直、そんな疑問もありました。しかし、組織の崩壊を経験したからこそ、理念の重要性が身に染みて分かっていました。理念を明文化し、経営の軸をつくることが、脆弱だった組織を根本から強くするために必要だと確信したのです。

理念づくりのプロセスは、決して簡単ではありませんでした。「自分たちは何のために存在するのか」「どんな価値を提供したいのか」「どんな未来を実現したいのか」。こうした根本的な問いに、真剣に向き合う必要がありました。

しかし、この作業を通じて、代表自身の中にあった曖昧な「思い」が、明確な言葉になっていきました。そして、その言葉こそが、これからの経営判断の羅針盤となったのです。

理念を「絵に描いた餅」で終わらせない工夫

理念を作っただけでは、何も変わりません。多くの会社が、立派な理念を額縁に入れて飾っているだけで、実際の経営や現場の行動には全く反映されていないのが現実です。

私たちが重視したのは、「理念の可視化と習慣化」です。

具体的には、以下のような取り組みを行いました。

まず、理念を単なる言葉として掲げるのではなく、日々の業務の中でどう実践するかを、社員と一緒に考えました。「この理念に基づくと、今日の仕事でどんな判断をすべきか」「お客様にどう接するべきか」。こうした対話を重ねることで、理念が徐々に組織に浸透していきました。

また、朝礼や定例会議で理念について話し合う時間を設けました。「今週、理念に基づいて行動できたことは何か」「もっと理念を体現するには、どうすればいいか」。こうした振り返りを習慣化することで、理念が「飾り物」ではなく「生きた指針」になっていったのです。

さらに、採用や評価の基準にも理念を組み込みました。理念に共感してくれる人を採用し、理念を体現している社員を評価する。こうすることで、組織全体が理念を中心に動く仕組みができあがりました。

理念が根付いた組織の変化

理念が習慣化されると、組織は驚くほど変わります。

まず、判断に一貫性が生まれました。かつて「解釈の違い」で混乱していた組織が、同じ方向を向いて動けるようになったのです。何か問題が起きた時も、「理念に照らし合わせるとどうか」という共通の基準があるため、社員同士で建設的な議論ができるようになりました。

次に、チームワークが格段に向上しました。理念という共通の目標があることで、「自分だけ良ければいい」ではなく、「チーム全体でどう目標を達成するか」という視点で動けるようになったのです。

そして何より、社員のやりがいが目に見えて高まりました。「自分たちの仕事には意味がある」「この会社で働くことに誇りを持てる」。そう感じられるようになった社員たちは、自ら考え、行動し、成長していきました。

組織の脆弱性は、本質的に解消されたのです。

同じ悩みを抱える経営者を支援したい

私たちの使命

この経験を通じて、私たちは一つの使命を見つけました。それは、「思いはあるが上手く形にできていない」中小企業の経営者の「思いをカタチにする」お手伝いをすることです。

多くの中小企業の経営者は、強い思いを持っています。「お客様を幸せにしたい」「従業員を大切にしたい」「社会に貢献したい」。その思いは、大企業の経営者に決して劣るものではありません。

しかし、その思いを言語化し、組織に浸透させるのは、簡単なことではありません。日々の業務に追われる中で、「理念づくり」に時間を割く余裕がない。どこから始めればいいか分からない。そんな経営者が多いのです。

私たちem株式会社は、自らが理念なき経営で失敗し、そこから這い上がった経験を持っています。だからこそ、同じ悩みを抱える経営者の気持ちが痛いほど分かります。そして、理念構築のプロセスを、実践的にサポートできます。

特に、組織を拡大・拡充したいと考えている30名以下の会社の経営者を、私たちの主な支援対象としています。この規模の会社は、まさに「経営者の思いだけでは回らなくなる」臨界点にあるからです。

私たちが大切にする支援の姿勢

理念構築の支援において、私たちが大切にしているのは「共創」という考え方です。

私たちは、経営者の思いを一方的に聞き取って、それを文章にまとめるだけのコンサルタントではありません。経営者と一緒に、深く掘り下げ、対話し、時には議論しながら、本当に心から納得できる理念を創り上げていきます。

そのために、以下のような姿勢を大切にしています。

まず、「探究心で掘り下げる」こと。表面的な課題に留まらず、「なぜその思いを持つようになったのか」「本当に実現したいことは何か」といった根源的な部分まで、一緒に探究します。かつて私たちの組織で社員が定着しなかった原因も、表面的には「待遇」や「人間関係」に見えましたが、根本は「理念の欠如」でした。このように、本質を見極める目を持っています。

次に、「想像力を膨らませる」こと。多くの経営者は、現状の制約に囚われて、未来を自由に想像することが難しくなっています。私たちは、「もし制約がなかったら、どんな会社にしたいですか」「10年後、どんな存在になっていたいですか」といった問いかけを通じて、経営者の想像力を刺激します。

そして、「共感力でつなげる」こと。経営者の思いに深く寄り添い、それを従業員にも伝わる言葉に翻訳します。かつて私たちの組織では、経営者の思いが社員に伝わらず、解釈がバラバラでした。この失敗を繰り返さないため、「どう伝えれば、誰もが同じ理解を持てるか」を常に考えます。

最後に、「誠実性を貫く」こと。理念構築は、一朝一夕にできるものではありません。また、作って終わりでもありません。組織に根付かせるには、長期的な取り組みが必要です。私たちは、その長い道のりを、誠実に伴走します。

理念で組織を強くするということ

理念は、単なる「飾り」ではありません。それは、組織の生存戦略そのものです。

先行き不透明な時代、変化の激しい市場環境の中で、中小企業が生き残り、成長していくためには、強固な軸が必要です。その軸こそが、理念なのです。

理念が明確な組織は、どんな困難に直面しても、「自分たちは何のために存在するのか」という原点に立ち返ることができます。そして、その原点から、新しい解決策を生み出すことができます。

一方、理念がない組織は、目の前の問題に振り回され、右往左往するだけです。結果として、組織は疲弊し、崩壊していきます。

私たちem株式会社は、かつて理念を持たずに起業し、組織の脆弱性によって社員が全員辞めるという危機を経験しました。だからこそ、理念・目的・ビジョンが組織の存続にとってどれほど不可欠であるかを、誰よりも深く理解しています。

そして今、その経験を活かし、同じ悩みを抱える経営者の皆様を支援しています。

おわりに:今こそ、組織の軸をつくる時

もしあなたが、組織運営に悩んでいるなら。社員が定着しない、育たない、一体感がないと感じているなら。それは、理念という「軸」がないことが原因かもしれません。

創業時の熱意は、確かに大切です。しかし、その熱意を言語化し、組織に浸透させなければ、いつか必ず壁にぶつかります。

「思い」はあるけれど形にするのが難しい。組織文化を変革したい。そう悩んでいる経営者の皆様、私たちと一緒に、その思いをカタチにしませんか。

理念の可視化と習慣化を通じて、貴社が持つ潜在的な価値を最大限に引き出します。理念が経営の軸として機能し、それが持続可能な企業文化として定着することで、貴社の組織は外部環境の変化に左右されない、強靭なものへと変貌を遂げます。

組織の脆弱性を克服し、企業の成長と発展を促進する。理念構築は、組織の未来を盤石なものにするための、最も重要な生存戦略です。

私たちem株式会社は、失敗を経験したからこそ、本気であなたの組織づくりを支援できます。同じ失敗を繰り返してほしくない。その一心で、日々、経営者の皆様と向き合っています。

まずは一度、お話を聞かせていただけませんか。あなたの「思い」を、一緒にカタチにしていきましょう。



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em株式会社(イーエムカブシキガイシャ)
代表取締役 郷司 光

経営理念:そうぞうの力で未来を描く
Purpose:中小企業の魅力を引き出し国力を上げる
Vision:革新的な日本型経営モデルの確立
Mission:思いを形にし理想の企業文化を創造

所在地:〒486-0817 愛知県春日井市東野町3丁目29番地7

Webサイト:https://em.80462.co.jp
お問い合わせ:https://em-company.jp

事業内容:

DX化・WEB集客サポート
企業理念浸透支援
理念策定フレームワーク作成支援
理念経営実行ツール作成・導入支援

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