「なぜ、自分の想いが社員に届かないのだろう」
多くの中小企業経営者が抱えるこの悩みは、単なるコミュニケーション不足の問題ではありません。組織の根幹に関わる、もっと深刻な構造的課題が潜んでいるのです。
em株式会社では、これまで多くの中小企業経営者の方々とお話しする中で、この「思いが伝わらない」というギャップが、企業成長の大きな壁になっている現実を目の当たりにしてきました。経営者は熱い想いを持っているのに、なぜそれが組織全体に浸透しないのか。その本質的な原因と解決策について、具体的に解説していきます。
経営者の「思い」が伝わらない本当の理由
創業時の「軸」の不在が引き起こす問題
中小企業の多くは、明確な理念やビジョンを持たないままスタートすることがあります。「まずは売上を立てなければ」「とにかく事業を軌道に乗せることが先決だ」という現実的な理由から、理念づくりは後回しにされがちです。
創業当初は経営者と従業員の距離が近く、直接的なコミュニケーションで想いを伝えることができます。しかし、組織が5人、10人、20人と拡大していくにつれて、状況は一変します。経営者が直接すべての社員と対話する時間は減り、中間管理職を通じた間接的なコミュニケーションが増えていきます。
このとき、組織の「軸」となる理念や目的が明確になっていないと、何が起こるでしょうか。
ある製造業の社長は、こんな悩みを抱えていました。「私は常に『お客様第一』で考えているつもりだった。でも、現場の社員たちは納期を守ることだけに必死で、品質やお客様との関係構築という視点が欠けていた。私の想いが全く伝わっていなかったんです」
この事例が示すように、経営者の頭の中にある「一貫した方針」は、明確に言語化され、組織全体で共有されない限り、各社員によって異なる解釈がされてしまいます。ある社員は「売上が最優先」と考え、別の社員は「納期厳守が最重要」と考える。経営者が本当に大切にしたい価値観は、バラバラに解釈され、組織の力が分散してしまうのです。
コミュニケーションの質が信頼関係を左右する
「思い」が伝わらないもう一つの大きな要因は、コミュニケーションの透明性と誠実性の欠如です。
人は、なぜその判断がされたのか、どんな背景や理由があるのかを理解できないとき、不信感を抱きます。経営者が「今期はこの方針で行く」と伝えても、その判断に至った背景や、組織全体にとってどんな意味があるのかが共有されなければ、社員は「また方針が変わった」「場当たり的だ」と感じてしまいます。
あるIT企業では、社長が新規事業への参入を決断しましたが、既存事業の担当社員たちは「なぜ今、新規事業なのか」「既存事業は軽視されているのか」と不安を感じていました。社長は「会社の将来のため」という想いを持っていましたが、その背景にある市場環境の変化や、長期的なビジョンを十分に説明していなかったのです。
後日、社長が全社員を集めて、市場データや競合状況、そして会社の10年後の姿について丁寧に説明したところ、社員の反応は大きく変わりました。「社長がそこまで考えていたとは知らなかった」「自分たちの役割が見えてきた」という声が上がり、組織の一体感が生まれたのです。
透明性のあるコミュニケーション、つまり判断の背景や理由を正直に共有することは、信頼関係の基盤となります。この信頼がなければ、どんなに素晴らしい「思い」も、単なる上からの命令としてしか受け取られません。
理念不在が組織を脆弱にする構造的メカニズム
短期的成功と長期的衰退のジレンマ
理念や目的を持たない組織でも、短期的には成功することがあります。優秀な経営者の判断力、市場の追い風、タイミングの良さなど、様々な要因で業績を伸ばすことは可能です。
しかし、本当の試練は、組織が成長した後にやってきます。
ある建設会社は、創業者のカリスマ性と営業力で急成長を遂げました。しかし、従業員が50名を超えたあたりから、問題が噴出し始めました。優秀な中堅社員が次々と退職し、新入社員は定着せず、残った社員のモチベーションも低下していったのです。
「何のために働いているのかわからない」「会社の方向性が見えない」「自分の仕事が何につながっているのか実感できない」
退職面談で聞かれたこれらの声は、まさに理念不在がもたらす典型的な症状でした。経営者は「良い仕事をして、お客様に喜んでもらい、みんなで豊かになろう」という想いを持っていました。しかし、それが明確な理念として言語化され、日々の業務や評価制度、採用基準などに一貫して反映されていなかったため、社員にとっては「給料のために働く」以上の意味を見出せなかったのです。
組織を長く存続させ、持続的な成長を実現するためには、理念・目的・ビジョンという「軸」が不可欠です。この軸があってこそ、危機的状況での判断基準となり、組織の存在意義を問い直す際の原点となります。
表面的な対処と本質的な問題解決の違い
理念が不在の組織では、問題解決のアプローチも表面的になりがちです。
例えば、「社員が定着しない」という問題に対して、多くの企業は給与アップや福利厚生の充実など、条件面の改善から取り組みます。これらは確かに重要な要素ですが、本質的な解決にはなりません。
なぜなら、人は条件だけで仕事を選ぶわけではないからです。自分の仕事に意味を感じ、組織の目的に共感し、自分の成長と組織の成長が結びついていると実感できたとき、人は本当にその組織にコミットします。
ある小売企業では、離職率の高さに悩んでいました。当初は給与や勤務条件の問題だと考え、待遇改善を試みましたが、効果は限定的でした。その後、改めて退職者へのヒアリングを深く行ったところ、「会社が何を目指しているのかわからない」「自分の仕事が社会にどう貢献しているのか見えない」という声が多数あることがわかりました。
そこで経営陣は、まず自分たちの理念を明確にすることから始めました。「地域の人々の日常を豊かにする」という理念を掲げ、それを実現するための具体的なビジョンと行動指針を作成しました。さらに、各店舗で「お客様の声」を共有する時間を設け、自分たちの仕事が実際にお客様の生活にどう役立っているかを実感できる仕組みを作りました。
結果として、離職率は大幅に改善し、社員のモチベーションも向上しました。条件面の改善だけでは解決できなかった問題が、理念という「軸」を持つことで本質的に解決されたのです。
「思い」を組織の力に変える理念づくりのプロセス
経営者の想いを言語化する重要性
多くの経営者は、強い想いやビジョンを持っています。しかし、それが頭の中にあるだけでは、組織を動かす力にはなりません。想いを「言語化」し、「可視化」することが、最初の重要なステップです。
ここで大切なのは、単なる美辞麗句を並べるのではなく、経営者の本音や原体験に基づいた、心からの言葉で表現することです。
em株式会社では、経営者との対話を通じて理念づくりをサポートしていますが、その過程で必ず尋ねるのが「なぜこの事業を始めたのか」「どんな社会を実現したいのか」「何を大切にして経営してきたのか」という根源的な問いです。
ある食品製造業の経営者は、当初「品質第一」「お客様満足」といった一般的な言葉を理念として考えていました。しかし、対話を深めていく中で、彼が本当に大切にしていたのは「食を通じて家族の絆を深める」という想いだったことがわかりました。彼自身が子供の頃、家族で囲んだ食卓の温かさが、人生の支えになっていたという原体験があったのです。
この本質的な想いを言語化し、「食卓に笑顔を届け、家族の絆を育む」という理念を掲げたとき、社員の反応は大きく変わりました。「自分たちは単に食品を製造しているのではなく、家族の大切な時間を創造している」という誇りと使命感が生まれたのです。
言語化のプロセスでは、客観的な第三者の視点が非常に重要です。経営者自身は当たり前だと思っていることが、実は組織にとって最も大切な価値観だったりします。また、想いが強すぎて、かえって言葉にするのが難しいこともあります。そんなとき、対話を通じて本質を引き出し、適切な言葉で表現するサポートが必要になります。
ビジョンで未来の姿を共有する
理念が「なぜ存在するのか」という組織の存在意義を示すものなら、ビジョンは「どこに向かうのか」という未来の姿を示すものです。
ビジョンが明確であることの価値は、社員一人ひとりが自分の役割を理解し、日々の業務と将来の目標を結びつけられることにあります。
ある物流企業では、「地域の物流インフラを担う企業になる」というビジョンを掲げました。これは単に売上目標や拠点数の数値目標ではなく、「地域になくてはならない存在になる」という質的な目標です。
このビジョンが共有されたことで、現場のドライバーたちの意識が変わりました。「単に荷物を運ぶ」のではなく、「地域の生活を支えている」という自覚が生まれ、配達時の丁寧な対応や、困っている高齢者へのちょっとした気配りなど、マニュアルにはない行動が自然と生まれるようになったのです。
ビジョンを描く際には、想像力を十分に働かせることが重要です。現状の延長線上ではなく、「本当に実現したい未来」を描く。そして、その未来が実現したとき、社会や顧客、そして社員自身の生活がどう変わっているかを具体的にイメージすることが大切です。
理念を組織文化として定着させる実践的アプローチ
共感を生み出すコミュニケーション戦略
理念を作っただけでは、組織は変わりません。それを組織文化として定着させ、日々の業務に浸透させていくプロセスが必要です。
ここで最も重要なのが「共感」です。理念が単なる額縁に飾られた言葉ではなく、社員一人ひとりが「自分事」として受け止め、共感できるものにしなければなりません。
共感を生み出すためには、まず経営者自身が理念について熱く語ることが必要です。なぜこの理念を掲げたのか、どんな想いが込められているのか、この理念が実現したらどんな未来が待っているのか。経営者の言葉で、経営者の想いとして伝えることが出発点です。
ただし、一方的に伝えるだけでは不十分です。社員との対話を通じて、彼らがどう感じているか、どんな疑問や不安を持っているかを聞き出し、それに応えていく双方向のコミュニケーションが必要です。
ある製造業では、新しい理念を策定した後、全社員を小グループに分けて、社長が直接対話する場を設けました。そこでは、社長が理念について語るだけでなく、社員からの質問や意見を丁寧に聞き、一つひとつに答えていきました。
「この理念は現場の私たちにとってどんな意味があるのか」「具体的にどう行動すればいいのか」「理念と日々の業務目標が矛盾しているように感じるが、どう考えればいいのか」
こうした率直な疑問に、社長が誠実に答えていくプロセスを通じて、理念は徐々に社員の心に浸透していきました。半年後には、現場から「この判断は理念に照らして正しいでしょうか」という問いかけが自然に出てくるようになり、理念が実際の判断基準として機能し始めたのです。
em株式会社では、経営者の想いに寄り添いながら、同時に従業員の視点も理解し、その間を橋渡しする役割を担います。経営者と従業員の双方の言葉に耳を傾け、共感を生み出すコミュニケーションを設計することで、理念が組織全体に浸透していくプロセスをサポートしています。
誠実性が信頼の土台を作る
理念を定着させるもう一つの重要な要素が「誠実性」です。
理念と実際の行動が矛盾していたら、社員は理念を信じなくなります。「理念では顧客第一と言いながら、実際は利益優先の判断をしている」「社員を大切にすると言いながら、過度な残業を強いている」こうした矛盾は、組織への信頼を一気に失わせます。
誠実性とは、常に正直で透明性のある関係を構築することです。都合の悪い情報も隠さず共有し、判断の理由を明確に説明し、約束したことは必ず実行する。こうした一貫した姿勢が、長期的な信頼関係を育みます。
ある小売企業では、業績悪化により賞与の減額を余儀なくされました。経営者は、この厳しい現実を正直に全社員に伝えることを決断しました。単に「賞与を減額する」と通告するのではなく、現在の経営状況、市場環境、そして今後の立て直しプランを詳細に説明しました。
さらに、経営陣自身の報酬も大幅に削減することを明言し、「まず経営陣が痛みを負う」という姿勢を示しました。また、業績回復のための具体的なアクションプランを社員と共に考える場を設け、一人ひとりができることを話し合いました。
このプロセスを通じて、社員の多くが「大変な状況だが、経営者は正直に話してくれている」「一緒に乗り越えようとしている」と感じ、むしろ組織の結束が強まりました。1年後、業績は回復に転じ、約束通り賞与も元の水準に戻すことができました。
誠実性を貫くことは、短期的には厳しい選択を迫られることもあります。しかし、長期的には揺るぎない信頼関係を築き、どんな困難も組織一丸となって乗り越える力を生み出します。
チームワークと共創で理念を実践する
理念の真の定着は、それが日々の業務の中で実践され、成果につながったときに初めて実現します。
そのためには、チームワークを通じた協働と、共創による価値創造が重要です。
チームワークとは、単に協力することではありません。共通の目標に向かって、互いの強みを活かし合い、補い合いながら成果を生み出すことです。理念が明確であれば、チームの目標も理念に基づいて設定され、メンバー全員が同じ方向を向いて力を合わせることができます。
ある広告代理店では、「クライアントの本質的な課題を解決する」という理念を掲げました。この理念に基づき、プロジェクトチームは単に依頼された広告を制作するだけでなく、クライアントのビジネス全体を理解し、本当に必要なソリューションを提案するアプローチを取るようになりました。
営業、クリエイティブ、マーケティング分析など、異なる専門性を持つメンバーが、それぞれの視点からクライアントの課題を掘り下げ、統合的なソリューションを共創する。このプロセス自体が、理念を実践する場となり、成功体験を通じて理念がさらに深く組織に根付いていきました。
共創力、つまり互いの強みを活かして新たな価値を創造する力は、理念があってこそ最大限に発揮されます。理念という共通の目的があるからこそ、個人の利害を超えて協力し、より大きな価値を生み出すことができるのです。
em株式会社では、クライアント企業の課題解決に向けて、チーム全体で目標達成を目指すサポートを提供しています。理念に基づいた協働のプロセスを設計し、実践を通じて組織の力を高めていくお手伝いをしています。
理念の習慣化が組織と社会を変える
日常業務の中で理念を体現する仕組み
理念を一時的なキャンペーンで終わらせず、組織文化として定着させるためには、「習慣化」が不可欠です。
習慣化とは、理念に基づく行動が特別な努力なしに自然と行われるようになることです。そのためには、日常業務の中に理念を組み込む仕組みが必要です。
具体的には、以下のような取り組みが効果的です。
まず、会議やミーティングの冒頭で理念を確認する時間を設ける。これにより、理念が常に意識の中心にある状態を作ります。
次に、意思決定の際に「この判断は理念に照らして正しいか」を問う習慣をつける。これは経営陣だけでなく、現場レベルでも同様です。
さらに、理念に基づく行動を評価し、称賛する仕組みを作る。月次の表彰制度や、社内報での事例紹介など、理念を体現した行動を見える化し、共有することで、組織全体に良い影響を広げていきます。
ある介護サービス企業では、「利用者の尊厳を守る」という理念を掲げています。この理念を日々の業務に浸透させるために、毎朝のミーティングで「昨日、利用者の尊厳を守るためにどんな工夫をしたか」を共有する時間を設けました。
最初は形式的だったこの取り組みも、続けるうちに、スタッフ一人ひとりが日常の小さな行動の中に理念を見出すようになりました。「利用者さんの好みを覚えて、その人らしい服装を提案した」「プライバシーに配慮した声かけを心がけた」といった具体的な行動が共有され、それが組織全体の標準となっていったのです。
習慣化のプロセスには時間がかかります。しかし、一度習慣として定着すれば、経営者が逐一指示しなくても、組織が自律的に理念に沿って動くようになります。これこそが、組織が本当の意味で強くなった状態です。
中小企業の変革が日本経済を支える
理念に基づく経営を実践する中小企業が増えることは、個々の企業の成長にとどまらず、日本経済全体にとって大きな意味を持ちます。
日本の企業の99%以上は中小企業であり、雇用の約7割を担っています。つまり、中小企業の活力が、日本経済の活力そのものなのです。
しかし、多くの中小企業が、人材確保や定着、組織力の強化といった課題に直面しています。これらの課題の根本には、理念不在によるコミュニケーションギャップや、組織の脆弱性があります。
理念を明確にし、それを組織文化として定着させることで、中小企業は以下のような変化を実現できます。
まず、優秀な人材の採用と定着が可能になります。特に若い世代は、給与や待遇だけでなく、「意味のある仕事」を求めています。明確な理念を持ち、社会的意義を感じられる企業には、自然と良い人材が集まります。
次に、組織の生産性と創造性が向上します。理念に基づく一貫した判断基準があれば、迷いや無駄な議論が減り、意思決定のスピードが上がります。また、共通の目的に向かって協力する文化が、イノベーションを生み出す土壌となります。
さらに、顧客や取引先からの信頼が高まります。理念を持ち、それを誠実に実践する企業は、短期的な利益よりも長期的な関係を重視します。こうした姿勢は、持続的なビジネスの成功につながります。
そして何より、働く人々のやりがいと幸福度が高まります。自分の仕事が社会に貢献していると実感でき、組織の一員として尊重されていると感じられる職場では、人は本来の力を発揮します。
このような強い中小企業が増えることで、日本経済全体の底力が高まります。大企業だけでなく、中小企業一社一社が理念を持ち、持続可能な成長を実現していくこと。それが、日本経済の真の活性化につながるのです。
em株式会社は、中小企業が持つ潜在的な価値を最大限に引き出し、企業の成長と発展を促進することを使命としています。理念づくりから、その定着、そして組織文化への昇華まで、経営者の皆様と共に歩み、持続可能な企業づくりをサポートします。
まとめ:理念こそが組織を強くする最大の武器
社長の「思い」が社員に伝わらないというコミュニケーションギャップは、多くの中小企業が直面する深刻な課題です。しかし、その根本原因を理解し、適切な対処をすれば、必ず解決できる問題でもあります。
本記事で解説してきたように、コミュニケーションギャップの本質は、組織の「軸」となる理念・目的・ビジョンの不在にあります。創業時に理念を持たなかったとしても、今からでも遅くはありません。経営者の想いを言語化し、組織の軸として確立することから始めましょう。
理念づくりは、単なる美しい言葉を作る作業ではありません。経営者の本音と原体験に基づき、心からの言葉で表現すること。そして、それを社員と共有し、対話を重ね、共感を生み出していくこと。さらに、日々の業務の中で実践し、習慣化していくこと。このプロセス全体が、理念づくりなのです。
em株式会社は、想いはあるが上手くかたちにできていない中小企業経営者の皆様に寄り添い、共感力と誠実性をもって、理念の可視化と組織への浸透をサポートします。経営者と従業員の架け橋となり、チーム全体で新たな価値を創造し、持続可能な企業文化を育むお手伝いをいたします。
理念という「軸」を持つことで、あなたの「思い」は確実に組織全体に伝わり、社員一人ひとりの力となります。そして、その力が結集したとき、あなたの企業は真に強い組織へと変貌を遂げるのです。
もし、あなたが今、「思いが伝わらない」という悩みを抱えているなら、それは組織を次のステージへ進化させるチャンスかもしれません。理念という確固たる軸を築き、組織の潜在力を最大限に引き出す。その第一歩を、私たちと共に踏み出してみませんか。
現代のビジネス環境は、かつてないスピードで変化し続けています。技術革新が日々進み、市場のニーズは多様化し、働き方も大きく変わりました。このような時代において、企業が直面する課題は、もはや一つの部門や一人の経営者だけでは解決できないほど複雑になっています。
そこで注目されているのが「共創力」です。共創力とは、企業と外部の専門家が対等なパートナーとして協力し、お互いの強みを活かしながら新しい価値を生み出す力のことを指します。
単なる業務委託やコンサルティングとは異なり、共創では双方が深く関わり合い、共通の目標に向かって一緒に汗を流します。この記事では、共創力がなぜ今の時代に必要なのか、そしてどのように企業の成長を支えるのかを、具体的な事例を交えながら解説していきます。
なぜ今、共創が必要なのか:企業が抱える構造的な課題
多くの企業が、一時的には成功しても、その後成長が止まってしまうことがあります。その背景には、組織の根本的な問題が隠れていることが少なくありません。
理念の曖昧さが組織を弱くする
企業が長く続き、成長し続けるためには、明確な理念や目的、ビジョンが必要です。これは経営の基本中の基本ですが、実際には多くの企業がこの部分を曖昧にしたまま事業を進めています。
特に中小企業の場合、創業時に「まずはやってみよう」という勢いで始めることも多いでしょう。具体的な事業計画もなく、理念やビジョンも定まっていない状態でスタートすることは珍しくありません。
ある製造業の社長は、こう語っていました。「創業して10年、自分なりの考えは持っていたつもりでした。でも、従業員に話を聞いてみると、みんなバラバラの方向を向いていたんです。私の思いが全く伝わっていなかったことに気づいて、本当にショックでした」
このように、経営者が一貫した方針を持っているつもりでも、それが社員に伝わっていなかったり、社員によって解釈が異なっていたりすることがあります。これでは組織全体の一体感が生まれず、力が分散してしまいます。
経営者には強い「思い」があるのに、それをうまく形にできていない。この状態から抜け出すために、共創の力が役立ちます。外部の視点を取り入れることで、経営者の思いを客観的に掘り起こし、明文化することができるのです。理念を明確にし、経営の軸を作ることが、組織を強くする第一歩となります。
内向きの思考がもたらすリスク
企業が成長するにつれて、過去の成功体験に頼りがちになります。「これまでうまくいったやり方」に固執してしまい、新しい可能性を探ることを忘れてしまうのです。
内部の知識や経験だけに頼ると、既存の枠組みにとらわれてしまいます。その結果、目の前に見える表面的な課題にばかり目が行き、その奥にある本質的な問題を見逃してしまうことになります。
例えば、「売上が伸びない」という課題に対して、「もっと営業を頑張ろう」という解決策を考えるのは自然です。しかし、本当の問題は商品開発の方向性にあったり、社内のコミュニケーション不足にあったりするかもしれません。
共創力は、この内向きの思考を打破する力を持っています。外部の専門的な知見や、異なる業界の視点を取り入れることで、固定観念を揺さぶり、新しい経営モデルに挑戦する土壌を作ることができます。
相互の強みを活かす共創のプロセスは、単なる課題解決を超えて、組織の将来的な成長戦略そのものを革新する力を持っているのです。
共創力が新しい価値を生み出す仕組み
共創力が実際にどのように新しい価値を創造していくのか、そのメカニズムを詳しく見ていきましょう。
探究心と好奇心が生む「強みの融合」
共創は、単にリソースを共有したり、情報交換をしたりするだけではありません。お互いが得意とする分野や、組織が持つ真の課題を深く理解することから始まります。
まず大切なのが、探究心を持って掘り下げる姿勢です。支援者は、表面的な課題に留まらず、「なぜそうなっているのか」「本当の原因は何か」と問いかけ続けます。経営者と一緒に真の原因を探ることで、組織内部にある潜在的な強みや、これまで気づかれていなかった資産が明らかになっていきます。
ある飲食店の事例を紹介しましょう。この店の経営者は「集客が課題だ」と考えていました。しかし、共創のプロセスで深く掘り下げていくと、実は従業員のモチベーション低下が根本原因であることがわかりました。従業員が活き活きと働けるような環境を整えた結果、サービスの質が向上し、自然と口コミで客が増えていったのです。
次に重要なのが好奇心です。常に前向きに新しい知見を取り入れ、それを企業の成長に活かす姿勢が、共創による価値創造のインプットとなります。
外部のパートナーが持つ専門的な知識や最新のトレンド、そして経営者が持つ深い現場感覚。この両者が相互の強みとして結びつくことで、既存の枠組みでは考えられなかった革新的な方法を提案することが可能になります。
例えば、伝統的な製造業の企業が、デジタルマーケティングの専門家と共創することで、これまで届かなかった若い世代の顧客層にアプローチできるようになった事例もあります。経営者の持つ製品への深い理解と、専門家のデジタル知識が融合することで、新しい販路が開拓されたのです。
想像力と創造力が描く「未来の設計」
共創力は、現状を分析するだけでなく、組織が目指すべき理想的な未来を経営者と共に描き、実現する力を持っています。
まず、未来のビジョン構築をサポートします。共創を通じて、新しい可能性を常に探求し、未来の姿を描く想像力を膨らませることができます。経営者の深い「思い」を基盤としながら、客観的かつ革新的な視点を加えることで、組織全体が共有できる説得力のあるビジョンが構築されます。
あるIT企業の経営者は、「社員が幸せに働ける会社にしたい」という思いを持っていました。しかし、それをどう実現すればいいのかわかりませんでした。共創のプロセスを経て、「社員一人ひとりが自分の強みを活かせる組織」という明確なビジョンに昇華されました。このビジョンは社員全員に共有され、採用活動や人事制度の見直しにも活かされています。
次に、描かれたビジョンを具体的な行動計画に落とし込みます。アイデアを形にし、具体的な行動計画と実行支援により理想の企業文化を創り上げる創造力が発揮されます。
共創の関係性では、計画策定から実行フェーズまで、チーム全体で目標達成を目指します。単に計画を作って終わりではなく、実際に動き出すまで、そして成果が出るまで伴走するのが共創の特徴です。
例えば、ビジョンを実現するために必要な具体的なステップを、3ヶ月、6ヶ月、1年後というタイムラインで設定します。各ステップでどんな行動が必要か、誰が責任を持つか、どう評価するかまで、細かく設計していきます。そして定期的に進捗を確認し、必要に応じて軌道修正を行います。
共感力と誠実性が築く「信頼関係」
共創が機能するためには、経営者と支援者の間に深い信頼と相互理解が不可欠です。
まず、誠実性が信頼の基盤となります。共創による変革のプロセスは、組織のデリケートな部分に触れることになります。だからこそ、常に正直で透明性のある関係を構築し、長期的な信頼関係を育む必要があります。
経営者はリスクや課題をオープンにし、共に解決策を探ることができる環境があってこそ、本当の変革が可能になります。「こんなこと言ったら恥ずかしい」「弱みを見せたくない」という気持ちを乗り越えて、率直に話せる関係性が重要なのです。
ある建設会社の社長は、「最初は外部の人間に弱みを見せるのが怖かった」と話していました。「でも、誠実に向き合ってくれる姿勢を感じて、次第に本音で話せるようになりました。そこから本当の課題が見えてきたんです」
次に、共感力が相互理解を促進します。共創の目的は、外部のノウハウを押し付けることではありません。経営者の思いに寄り添い、従業員との架け橋となる共感力を発揮することで、外部の視点と内部の文化がスムーズに融合します。
例えば、経営者が「もっと社員に自主性を持ってほしい」と願っているとします。しかし、現場の社員は「指示を待つのが当たり前」という文化で育っています。この両者の間に立ち、経営者の思いを従業員に伝わる言葉に翻訳し、従業員の不安を経営者に理解してもらう。このような橋渡しの役割が、共創では重要になります。
この共感に基づく関係性が、組織全体の一体感を創出し、変革の推進力を高めていくのです。
共創力がもたらす戦略的な価値
共創力は、組織に対して複数の戦略的な価値をもたらします。それぞれを詳しく見ていきましょう。
深いパートナーシップによる信頼性の確立
共創の関係は、短期的な契約ではありません。組織の理念構築と文化定着という、長期的な変革を目的としています。
相互の強みを活かし、共同で価値を創造するプロセスは、単なるサービス提供者と顧客の関係を超えています。真のパートナーシップを築くことで、お互いが成長し続けることができます。
特に、誠実性を貫くことにより培われる長期的な信頼関係は、外部環境の予期せぬ変化や、変革の過程で生じる困難な局面においても、協働を継続するための強固な基盤となります。
ある小売業の企業では、コロナ禍という予期せぬ事態に直面しました。しかし、共創のパートナーと築いていた信頼関係があったからこそ、迅速にオンライン販売への転換を実現できました。「困難な時こそ、信頼できるパートナーの存在が大きかった」と経営者は振り返ります。
この持続的な信頼関係こそが、共創力の最も重要な成果の一つです。一時的な成果ではなく、長期的に企業を支え続ける関係性が生まれるのです。
専門性と権威性の具体的な発揮
共創を通じて新しい経営モデルの構築に挑戦することは、組織支援の専門性を具体的に証明することになります。
まず、潜在的な価値を引き出す能力が発揮されます。理念の可視化と習慣化の支援を通して、中小企業が持つ潜在的な価値を最大限に引き出す活動は、高度な組織開発の専門性を要求します。
共創により、この潜在価値の発見と実現が、経営者自身の知恵と融合して行われるため、より深いレベルでの変革が達成されます。外部から一方的に与えられた解決策ではなく、経営者と一緒に作り上げた解決策だからこそ、組織に深く根付くのです。
ある物流会社では、長年「人手不足」が課題でした。共創のプロセスで掘り下げていくと、実は社員の定着率の低さが根本原因であることがわかりました。そして、社員が誇りを持って働けるような理念を明文化し、評価制度を整えることで、自然と定着率が向上し、人手不足の問題も解消されていきました。この事例は、表面的な問題の奥にある真の課題を発見し、解決する専門性を示しています。
次に、革新的な成果が権威性を確立します。既存の枠組みにとらわれず、探究心と創造力を用いて共に生み出された新しい経営モデルの成功事例は、確固たる実績となります。
例えば、伝統的な製造業が、共創を通じて新しいビジネスモデルに転換し、売上を大きく伸ばした事例があります。このような具体的な成果が、他の企業からの信頼を得ることにつながります。
向上心による継続的な成長
共創の関係では、支援者自身も学び、成長することが求められます。私たち自身も成長し続けるという向上心が、共創の質を高めます。
共創を通じて得られた新しい知見や成功体験を、次のクライアントやプロジェクトに活かすことができます。ある業界で学んだことが、全く別の業界で新しい価値を生むこともあります。
この持続的な学習と成長のサイクルがあるからこそ、共創力は常に進化し、クライアントにも最適な成長の道筋を示すことができるのです。
例えば、ある飲食業での理念浸透の手法が、製造業でも応用できることがあります。業界は違っても、組織の本質的な課題は共通していることが多いからです。このような知見の横展開が可能になるのも、向上心を持って学び続けているからこそです。
共創力が導く持続可能な成長への道
相互の強みを活かし、経営者と共に新たな価値を創造する共創力は、組織の脆弱性を克服し、持続的な成功を実現するためのエンジンです。
理念の明文化から習慣化へ
共創を通じて、経営者の「思い」は理念の明文化という明確な「軸」となります。ただし、理念を作っただけでは意味がありません。それを組織全体に浸透させ、日々の行動に反映させることが重要です。
理念を習慣化するためには、具体的な取り組みが必要です。例えば、朝礼で理念を読み合わせる、評価制度に理念を反映させる、理念に基づいた行動事例を共有するなど、様々な方法があります。
ある介護事業所では、理念を明文化した後、毎月の会議で「今月の理念実践事例」を発表する時間を設けました。最初は戸惑っていた職員も、次第に理念を意識して行動するようになり、組織全体の一体感が生まれたといいます。
この強固な軸のもとで、企業の成長と発展を促進し、働く人々のやりがいを高め、持続可能な企業文化を育むことができます。
経営者の悩みに寄り添う実践的なアプローチ
共創力は、組織を拡大・拡充したいと願う経営者、特に「思い」はあるものの形にするのが難しいと感じている方にとって、理想の企業文化を実現するための最も効果的なアプローチです。
多くの経営者が、「こうしたい」という思いはあっても、それをどう実現すればいいかわからず悩んでいます。「社員に伝えたいことがあるのに、うまく伝わらない」「組織を変えたいけど、どこから手をつければいいかわからない」といった声をよく聞きます。
共創は、このような経営者の悩みに寄り添い、一緒に解決策を見つけていくプロセスです。答えを押し付けるのではなく、経営者の中にある答えを引き出し、形にしていくのです。
ある建設会社の社長は、「自分の頭の中にあったものを、言葉にして形にしてもらえた。それが本当にありがたかった」と話していました。思いを形にすることで、社員に伝わりやすくなり、組織全体が同じ方向を向けるようになったのです。
中小企業の潜在的な価値を最大化する
中小企業には、大企業にはない独自の強みがあります。意思決定の速さ、顧客との距離の近さ、柔軟な対応力など、様々な潜在的な価値を持っています。
しかし、多くの中小企業は、自社の強みに気づいていなかったり、それをうまく活かせていなかったりします。共創は、この潜在的な価値を最大限に引き出すプロセスでもあります。
ある地方の製造業では、長年培ってきた技術力が実は大きな強みであることに、共創のプロセスで気づきました。その技術をブランド化し、高付加価値商品の開発につなげることで、新しい市場を開拓することができました。
このように、共創を通じて自社の強みを再発見し、それを成長の原動力に変えることができるのです。
社会全体への波及効果
個々の企業の成長と発展は、最終的に日本経済全体の活性化につながります。中小企業は日本経済の基盤であり、その成長は地域社会の発展にも直結します。
ある地方都市では、一つの企業が共創によって成長したことがきっかけで、地域全体に好循環が生まれました。その企業が雇用を増やし、地域の若者が地元に残るようになり、他の企業にも良い影響を与えたのです。
共創力は、企業とパートナー、そして社会全体に利益をもたらす、戦略的な協働の力です。一つの企業の変革が、周囲に波及し、やがて社会全体の変化につながっていく。そんな可能性を秘めているのが共創なのです。
これからの時代に必要な協働のかたち
ビジネス環境がますます複雑化する中で、一人で、あるいは組織内部だけで全てを解決することは困難になっています。だからこそ、相互の強みを活かし、共に新しい価値を創造する共創力が、これからの時代に不可欠な力となります。
共創は、単なる手法やテクニックではありません。お互いを尊重し、信頼し、共に成長していこうという姿勢そのものです。この姿勢があれば、どんな困難な課題も、共に乗り越えていくことができます。
あなたの企業にも、まだ気づいていない潜在的な価値があるはずです。経営者としての「思い」を形にし、組織全体に浸透させることで、持続的な成長への道が開けます。
共創の力を活用して、理想の企業文化を実現し、働く人々がやりがいを持って成長できる組織を作る。それは決して夢物語ではなく、着実に実現できる未来なのです。
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em株式会社(イーエムカブシキガイシャ)
代表取締役 郷司 光
経営理念:そうぞうの力で未来を描く
Purpose:中小企業の魅力を引き出し国力を上げる
Vision:革新的な日本型経営モデルの確立
Mission:思いを形にし理想の企業文化を創造
所在地:〒486-0817 愛知県春日井市東野町3丁目29番地7
Webサイト:https://em.80462.co.jp
お問い合わせ:https://em-company.jp
事業内容:
DX化・WEB集客サポート
企業理念浸透支援
理念策定フレームワーク作成支援
理念経営実行ツール作成・導入支援
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