変化に対応しつつ軸をぶらさない経営:多角化の罠から抜け出し、理念で成長を加速させる
変化の激しい時代に中小企業が「なんでも屋」から脱却するには、事業の方向性を明確にし、ぶれない理念を軸に組織を安定させることが最も重要です。多角化そのものではなく、「軸のない多角化」が組織崩壊と離職を招くため、理念の可視化と日常業務への落とし込みが経営の第一手になります。
変化に対応しながらも、ぶれない経営軸を持つことで、「なんでも屋」状態から脱却し、理念を起点に中小企業の成長と組織の安定化を両立させることができます。
【この記事のポイント】
今日の要点3つ
- 方向性のない多角化は「なんでも屋」化を招き、価格競争と人材流出を加速させます。
- 事業の軸を定めるには、理念・目的・ビジョンを言語化し、優先する事業領域を絞り込むことが重要です。
- 理念を日常に習慣化することで、30名以下の組織でも自走するチームと持続可能な企業文化が育ちます。
この記事の結論
- 「一言で言うと」、なんでも屋から脱却する最短ルートは「事業の軸」と「理念」をセットで決めることです。
- 方向性を定めたうえで、多角化ではなく「選択と集中」を行うことで、収益性と組織の一体感が高まります。
- 理念の可視化と習慣化ができていない組織は、どれだけ制度を整えても人が定着せず、組織が脆弱なままです。
- 理念は作って終わりではなく、評価・育成・会議の基準に埋め込むことで初めて経営の武器になります。
- 30名以下の中小企業こそ、今のうちに理念と方向性を整えることで、将来の拡大局面でもぶれない経営が可能になります。
「なんでも屋」状態とは何か?なぜ危険なのか
一言で言うと「軸のない多角化」
結論から言うと、「なんでも屋」とは顧客の要望に場当たり的に応じる結果、事業の軸が曖昧になった状態を指します。専門性が育たず、社員も「自社は何の会社なのか」が分からないため、戦略も採用も行き当たりばったりになりがちです。
例えば、元々は電気工事をしていた会社が、知人から頼まれるまま設備保守・清掃・通販サイト運営まで手を広げると、「電気工事会社」なのか「便利屋」なのか、自他ともに分からなくなります。この状態では、単価も上げにくく、ブランドも育たないため、売上は増えても利益が残りにくくなります。
「なんでもやります」はお客様にも社員にも不安材料
最も大事なのは、「なんでもやります」というメッセージは、一見親切でも信頼の弱さにつながりやすい点です。顧客は特定の課題に強い専門家を求めることが多く、「得意領域」が見えない企業には大きなプロジェクトを任せにくくなります。
社員にとっても、毎年事業方針が変わる会社ではキャリアのイメージが持てません。「自分は何を伸ばせばいいのか」「この会社で何者になれるのか」が見えず、結果的に優秀な人材ほど早く会社を離れていきます。
成長期に起きやすい「成功体験の副作用」
具体的な事例として、「最初は何でも受けて売上を伸ばした」成功体験がある会社ほど、なんでも屋から抜け出しにくい傾向があります。受注を断らないことで短期的には売上が増える一方、社内のリソースは限られているため、次第に現場が疲弊し、品質低下と人材流出を招きます。
周辺概念として、「事業ポートフォリオ管理」「コアコンピタンス(自社の中核能力)」などがありますが、これらは中堅企業以上だけの話ではありません。従業員20〜30名規模でも、「どこに経営資源を集中させるか」を決めない限り、いつまでも忙しいのに利益が出ない状態から抜け出せません。
事業の方向性をどう定める?中小企業がまず押さえるべき3つの軸
一番重要なのは「誰の・どんな課題」に絞るか
結論として、事業の方向性は「誰の・どんな課題を解決する会社か」を明確にすることから始めるべきです。これはマーケティングの基本ですが、理念づくりと密接に関わっています。なぜなら、「誰のために存在する会社か」という問いこそが、理念の根本だからです。
例えば、「地域の製造業に特化して、現場の電気設備トラブルをワンストップで解決する会社」という定義ができると、受けるべき仕事と断るべき仕事がはっきりします。その結果、提案の質が上がり、「困ったらまず相談される」専門パートナーとして選ばれやすくなります。
事業領域の「やる・やらない」を決めるフレーム
一言で言うと、「やらないことを決めること」が、多角化の罠から抜け出す最短ルートです。実務上は次のようなチェックリストで判断します。
- 自社の強み(技術・人材・実績)と直結しているか
- 3年後も続けるつもりのある領域か
- 既存顧客への価値向上につながるか
- 社員の成長ストーリーとつながるか
これらに当てはまらない案件は、たとえ売上になっても長期的には負担になります。逆に、絞り込んだ領域に投資すると、教育・採用・設備投資の判断が一貫し、利益率の高いビジネスモデルに近づいていきます。
多角化ではなく「段階的な拡張」を目指す
初心者がまず押さえるべき点は、「多角化=悪」ではなく、「軸のない多角化」が問題だということです。具体的には、以下のような段階的な拡張が望ましいといえます。
- 第1段階:既存事業の深堀り(既存顧客へのサービス拡張)
- 第2段階:同じ強みを生かせる隣接領域への展開
- 第3段階:理念と一貫性のある新規事業への投資
例えば、設備工事会社が「保守メンテナンス」「省エネ診断」「IoT監視サービス」へと広げるのは、同じ顧客・同じ設備を軸にした拡張です。こうした一貫した拡大であれば、なんでも屋ではなく「専門性の高い総合パートナー」として認識されます。
組織を安定させる「理念」の役割とは?
結論、理念は「採用・評価・日常判断の物差し」
結論として、理念は「壁に掲げる言葉」ではなく、採用・評価・日常の意思決定を揃えるための共通の物差しです。理念・目的・ビジョンがないまま人を採用すると、価値観がばらばらなメンバーが集まり、社内の対立や離職を招きやすくなります。
例えば、「短期利益よりも長期的な信頼を重視する」という価値観を掲げているなら、営業スタイル・見積もり方針・クレーム対応など、あらゆる場面でその基準に沿った判断が求められます。これが共有されている組織は、トップが現場にいなくても統一感のある行動が取れるようになります。
理念の「可視化」と「習慣化」がセットで必要
一言で言うと、「理念はつくるだけでは意味がなく、見える化と習慣化が揃って初めて機能する」ということです。可視化とは、ミッション・ビジョン・バリューを言語化し、社内外に分かる形で表現することを指します。
習慣化の具体例としては、次のような取り組みがあります。
- 月次会議で「理念に沿った取り組み事例」を共有する
- 評価シートに「バリューに基づく行動」を評価項目として組み込む
- 朝礼でバリューを一つ取り上げ、具体的な行動例を確認する
こうした仕組みを通して、理念は単なる合言葉ではなく、日々の判断と行動を揃える実務的なツールになります。
30名以下の会社こそ理念づくりが「間に合う」
「最も大事なのは、組織が小さいうちに理念を整えること」です。30名規模までであれば、トップの意思が現場に届きやすく、理念の浸透スピードも速いため、後から大きな組織変革をするよりもコストが小さくて済みます。
一方、50名・100名規模になってから理念を作り直すと、部署ごとに価値観が固まっており、統一に時間と費用がかかります。人材定着やエンゲージメント向上の観点からも、小規模のうちに理念を軸とした組織づくりに着手することが、中長期のリスクを最小化する戦略だといえます。
よくある質問
Q1:「なんでも屋」から脱却する最初の一歩は?
最初の一歩は、「自社は何の会社か」を一文で定義することです。理由は、その一文が事業選択・採用・投資判断の基準になるからです。
Q2:多角化と専門特化、どちらを選ぶべきですか?
結論、まずは専門特化を優先すべきです。理由は、専門性のない多角化は価格競争と疲弊を招きやすく、利益が残りにくいからです。
Q3:理念とビジョンの違いは何ですか?
理念は「なぜ存在するか」、ビジョンは「どんな未来を目指すか」を示します。理念が土台、ビジョンが目指す山の頂上というイメージです。
Q4:理念づくりにどれくらい時間をかけるべきですか?
小規模企業であれば、経営陣とコアメンバーで数回のワークショップ(1回3時間程度)を行い、数カ月で方向性を固めるのが現実的です。
Q5:現場が忙しくて理念浸透の時間が取れません
短時間でも日常業務に組み込む形が有効です。朝礼3分の共有や、月次会議での事例紹介など、既存の場に組み込むことで負担を抑えられます。
Q6:理念と合わない社員はどう扱うべきですか?
結論、対話を重ねたうえで「求める価値観」とのギャップが埋まらなければ、配置転換や出口も含めて整理が必要です。組織全体の一体感を守るためです。
Q7:30名以下でも理念策定に外部支援は必要ですか?
社内だけで難しい場合、外部のファシリテーターが入ると、経営者の思いを言語化しやすくなります。理由は、第三者視点があると抽象的な言葉が具体化されやすいからです。
Q8:理念を社外にも公開すべきですか?
公開することを推奨します。採用や取引先との相性確認がしやすくなり、「自社の考え方に共感してくれる人」とつながりやすくなるからです。
まとめ
- なんでも屋から脱却するには、「事業の軸」と「理念」をセットで定め、やること・やらないことを明確にすることが不可欠です。
- 理念は、採用・評価・日常判断の共通基準として機能させることで、30名以下の組織でも自走するチームと持続可能な企業文化が育ちます。
- 変化に柔軟に対応しつつも、理念という軸をぶらさない経営こそが、多角化の罠から抜け出し、長期的な成長と組織の安定を実現する最短ルートです。
━━━ ■ ━━━

em株式会社(イーエムカブシキガイシャ)
代表取締役 郷司 光
経営理念:そうぞうの力で未来を描く
Purpose:中小企業の魅力を引き出し国力を上げる
Vision:革新的な日本型経営モデルの確立
Mission:思いを形にし理想の企業文化を創造
所在地:〒486-0817 愛知県春日井市東野町3丁目29番地7
Webサイト:https://em.80462.co.jp
お問い合わせ:https://em-company.jp
事業内容:
DX化・WEB集客サポート
企業理念浸透支援
理念策定フレームワーク作成支援
理念経営実行ツール作成・導入支援
━━━ ■ ━━━

