表面的な課題に騙されない:探究心が特定する、組織の本質的な問題解決法

表面的な課題に振り回されず、本質的な組織課題を特定するには、「探究心」に基づいた構造的な問いと検証プロセスが不可欠です。表面の現象だけを直そうとせず、理念・目的・ビジョンと結びつけて掘り下げることで、持続的に機能する組織変革が可能になります。


この記事のポイント

押さえるべき要点3つ

  • 一言で言うと、表面的な課題ではなく「組織の前提条件」を疑うことが、本質的な問題解決の第一歩です。
  • 探究心を組織的なプロセスとして仕組み化することで、現場任せではない再現性のある課題発見が可能になります。
  • 理念・目的・ビジョンと日々の行動を結びつけて検証することで、中小企業でも無理なく本質的な組織変革を進められます。

この記事の結論(最初に即答)

  • 結論:表面的な課題に騙されないためには、「なぜ」を掘り下げる探究心を、経営と現場の共通プロセスとして仕組み化すべきです。
  • 最も大事なのは、理念・目的・ビジョンと課題を必ず結びつけて議論する習慣をつくることです。
  • 中小企業では、個人依存ではなく、問いのテンプレートや定例対話を通じて「本質を探る会話」を日常化するのが効果的です。
  • 探究心は感覚ではなくスキルとして鍛えられ、誰でも「表面ではなく構造を見る」視点を持つことができます。
  • 結果として、離職・不信・業績不振といった症状レベルではなく、組織の土台から変革できるようになります。

探究心が組織の本質的課題を特定する理由

探究心とは何か?なぜ組織課題に効くのか

結論から言うと、探究心とは「目の前の答えに飛びつかず、背景・前提・構造を問い続ける姿勢」であり、本質的な組織課題を特定するための基礎体力です。

組織の問題の多くは「人が悪い」「やる気がない」といった単純な原因ではなく、方針の不明瞭さやコミュニケーション構造など、見えにくい要因の積み重ねで生じています。例えば、売上停滞を「営業の頑張り不足」と見なすか、「戦略や顧客ターゲットの曖昧さ」と捉えるかで、取るべき打ち手はまったく変わります。

私たちem株式会社では、探究心を10のValueのひとつとして掲げています。これは「表面的な課題に留まらず、本質的な問題の解決に取り組む」姿勢そのものです。単に「しつこく聞く」という意味ではなく、「何が起きているのか」「なぜ起きているのか」「その背景の構造は何か」を段階的に分解していく思考プロセスを指します。

一言で言うと、「現象」ではなく「構造」を見るためのレンズが探究心だと言えます。

表面的な課題とは何か?よくある勘違いパターン

表面的な課題とは「症状だけを切り取った問題の見え方」であり、放置すると対処療法の繰り返しになります。

典型的な勘違いパターンとして、次のようなケースが挙げられます。

  • 「離職率が高い=若手の忍耐力がない」という決めつけ
  • 「会議が長い=ファシリテーションが下手」という短絡的な判断
  • 「現場が動かない=管理職のリーダーシップ不足」とだけ考える

しかし実際には、評価制度が理念と結びついていない、権限委譲のルールが曖昧、事業の優先順位が経営から伝わっていないなど、構造的な要因が横たわっていることが多くあります。

一言で言うと、「現場の態度」に見える問題の多くは、「経営の設計」の問題であることが少なくありません。ここを取り違えると、教育や研修だけを強化しても、根本的な変化は起こりません。

なぜ理念・ビジョンと結びつけて探究すべきなのか

理念・目的・ビジョンと課題を結びつけない探究は、方向性を失った分析になりがちです。

組織の「あるべき姿」が曖昧なまま課題を議論すると、何を基準に「問題」と見なすべきかが定まらず、議論が感覚論に流れてしまいます。例えば、「離職が多い」のは本当に悪いことなのか、あるいは変革期の一時的な現象なのかは、会社としてどんな組織を目指すのかによって意味が変わります。

私たちem株式会社では、自社の立て直しの過程で「理念づくり」から始め、その明文化を経営の軸として位置づけることで、社員の定着と組織の安定を図ってきました。この経験からも、課題の掘り下げは常に「自社らしさ」「目指す姿」とセットで行うことが重要だと考えています。

最も大事なのは、「この課題は、私たちの理念から見て、どんなギャップなのか?」という問いを、経営と現場で繰り返し共有することです。

具体例:表面的な課題に騙されたケースと、本質にたどり着いたケース

同じ現象でも、探究心の有無で打ち手の質は大きく変わります。ここでは、30名以下の中小企業でよくあるケースを二つ紹介します。

ケース1:営業成績が伸びない

最初は「営業マンの提案力不足」という前提で研修を強化しましたが、変化は限定的でした。探究プロセスを通じて顧客インタビューを行ったところ、「自社が何を大事にしている会社か伝わってこない」「担当者によって言うことが違う」という声が多く、そもそも理念と提供価値が整理されていないことが判明しました。

そこで、理念とバリュープロポジションを再定義し、営業トークや資料を統一した結果、受注率が改善していきました。

ケース2:若手社員の早期離職が続く

当初は「若者の価値観の変化」として片付けられていましたが、エンゲージメント調査と1on1インタビューを行うと、「会社の方向性が見えない」「将来どう成長できるか分からない」という不安が根底にあることが分かりました。

経営陣がビジョンを言語化し、定例の経営対話ミーティングで共有する場を設けたことで、若手からの質問量と前向きな提案が増え、離職率も徐々に低下していきました。

一言で言うと、「人が悪い」ではなく、「構造がまだ設計されていない」と捉え直せるかどうかが、本質的な解決への分かれ道です。


探究心を組織に根付かせるには?実践ステップとツール

探究心をスキルとして育てるにはどうすべきか

探究心は属人的なセンスではなく、組織として鍛えられるスキルです。

問い方・聴き方・情報のまとめ方には一定の型があり、それを共有すれば誰でも「本質を探る会話」ができるようになります。最も大事なのは、「問いを立てるトレーニング」と「安全に本音を話せる場づくり」をセットで行うことです。

私たちem株式会社では、「探究心で掘り下げる」ことをValueとして明文化し、表面的な課題ではなく本質的な問題解決に取り組む姿勢をクライアントと共有しています。このValueがあることで、「なぜ?」を重ねる問いが個人攻撃ではなく、組織をよくするための対話として機能しやすくなります。

一言で言うと、探究心をスキルとして扱うには、「問いの型」と「対話の土台(Value)」の両方が必要です。

実践ステップ:本質的課題を特定する10ステップ

本質的課題を特定するには、次のようなステップを踏むことが有効です。ここでは、30名以下の組織が、1〜2カ月程度で取り組める現実的なプロセスを想定しています。

  1. 課題の「現象」を整理する
    まずは起きている事象を客観的に書き出します。「売上が下がった」「離職者が増えた」など、事実ベースで整理することが出発点です。
  2. 関係者から事実ベースの情報を集める
    インタビューやアンケートを通じて、現場の声を収集します。この段階では解釈を加えず、できるだけ生の声を集めることが重要です。
  3. 「なぜ」を3〜5回繰り返し、仮説レベルの原因を洗い出す
    トヨタ生産方式でも知られる「なぜなぜ分析」を活用し、表面的な原因から深層の原因へと掘り下げていきます。
  4. 原因を「人・仕組み・戦略・理念」の4領域に分類する
    洗い出した原因を整理し、どの領域に課題が集中しているかを可視化します。
  5. 理念・目的・ビジョンとのギャップを言語化する
    「本来どうあるべきか」と「現状」の差分を明確にします。
  6. ギャップのうち、最も影響の大きいものに絞る
    すべてを一度に解決しようとせず、優先順位をつけて取り組むべき課題を選定します。
  7. 具体的な打ち手案を複数出し、コスト・インパクト・実現可能性で比較する
    一つの解決策に固執せず、複数の選択肢を検討することで、より効果的な打ち手を見つけられます。
  8. 小さく始められる「実験(トライアル)」を設定する
    いきなり大きな変革を目指すのではなく、小規模な実験から始めてリスクを最小化します。
  9. 一定期間後に効果を検証し、次の一手を再設計する
    実験結果を振り返り、うまくいった点・改善すべき点を明確にして次のアクションにつなげます。
  10. プロセス全体を振り返り、「問いの質」を改善する
    課題解決のプロセス自体を振り返り、次回以降の探究の質を高めていきます。

このようにステップを明確にすることで、「なんとなく話し合う」状態から、「組織として本質を探る」状態に移行できます。一言で言うと、探究心をプロセスに落とし込むことで、再現性のある課題発見サイクルが生まれます。

どんなツールや時間・コストが必要か

特別な高価ツールは必須ではなく、既存のオンライン会議ツールやスプレッドシートで十分に始められます。重要なのは、ツールそのものよりも、「問いを記録し、見える化する」運用の方です。

必要なツール例

  • オンライン会議ツール(Zoom、Teamsなど)
  • ドキュメント共有ツール(Googleドキュメント、Notionなど)
  • 簡易なサーベイツール(Googleフォームなど)

時間とコストの目安

  • 月1〜2回、各90分程度の「探究ミーティング」
  • 準備・事後共有を含め、担当者1名あたり月3〜5時間
  • 有料ツールを使わなければ、金銭的コストはほぼゼロ

一言で言うと、「時間を確保し、問いと仮説の履歴を残すこと」が、最初に投資すべき資源です。

具体例:探究ミーティングで起こる変化

探究ミーティングは、単なる会議ではなく「組織が自分の状態を理解するための定期健診」のような役割を持ちます。ここでは、私たちem株式会社が支援するような30名以下の企業で起きがちな変化を例示します。

導入前

  • 会議で「誰が悪いか」の議論になりやすい
  • 課題が毎月変わり、優先順位が定まらない
  • 現場メンバーが本音を話しにくい雰囲気がある

導入後

  • 「なぜこの課題が起きているのか」を冷静に分解する習慣ができる
  • 理念・ビジョンとのギャップを軸に、議論の軸が揃ってくる
  • 現場から「こうすればよくなるのでは」という提案が自然と増える

初心者がまず押さえるべき点は、「完璧な場をつくろうとしないこと」です。小さく始め、続けながら問いの質と場の安全性を高めていくことが、探究心の組織定着には有効です。


探究心を定着させるための組織文化づくり

心理的安全性の確保が探究の土台となる

探究心を組織に根付かせるためには、メンバーが安心して疑問を口にできる環境が不可欠です。「こんなことを聞いたら馬鹿にされるのではないか」「批判されるのではないか」という不安があると、本質的な問いは生まれません。

心理的安全性を高めるためには、以下のような取り組みが効果的です。

  • 経営層が率先して「分からないこと」を認める姿勢を見せる
  • 失敗を責めるのではなく、学びの機会として捉える文化を醸成する
  • 「良い質問をした」ことを積極的に評価・承認する

経営層のコミットメントが成否を分ける

探究心を組織文化として定着させるには、経営層の本気度が問われます。現場だけに任せるのではなく、経営層自らが探究のプロセスに参加し、自社の前提を問い直す姿勢を見せることが重要です。

私たちem株式会社でも、クライアント支援において経営層との対話を重視しています。経営層が「自分たちの判断も検証の対象である」という姿勢を持つことで、組織全体に探究の文化が浸透していきます。

小さな成功体験を積み重ねる

大きな組織変革を一気に目指すのではなく、小さな成功体験を積み重ねることが、探究心の定着には効果的です。

例えば、最初は一つの部署や一つのプロジェクトに限定して探究ミーティングを導入し、そこで得られた成果を社内で共有することで、他の部署への展開がスムーズになります。「探究することで実際に課題が解決した」という実感が、組織全体の探究心を高める原動力となります。


よくある質問

Q1. 表面的な課題と本質的な課題の違いは何ですか?

表面的な課題は目に見える症状だけを指し、本質的な課題はその症状を生み出している構造や前提条件を指します。

Q2. 探究心が弱い組織に共通する特徴は?

原因を人の性格ややる気の問題に帰属しがちで、仕組みや理念とのギャップを見直す視点が不足している点が共通しています。

Q3. 中小企業でも本質的な課題特定はできますか?

できます。少人数だからこそ、経営と現場が近く、対話の場を設計すれば短いサイクルで検証しやすい利点があります。

Q4. 探究ミーティングはどのくらいの頻度で行うべきですか?

月1〜2回が現実的で、1回90分程度を継続することで、半年〜1年かけて課題発見の精度が高まっていきます。

Q5. 探究のプロセスは誰がリードすべきですか?

理想は経営層または部門責任者がリードしつつ、ファシリテーションを担う担当者を決め、役割分担を明確にすることです。

Q6. 従業員が本音を話してくれないときはどうすればいいですか?

評価と直結しない場を設けること、批判ではなく興味から質問する姿勢を徹底することで、徐々に本音の対話が増えていきます。

Q7. 探究の結果、経営の前提が間違っていた場合はどうなりますか?

短期的には痛みを伴いますが、早期に前提を修正できれば、長期的には組織の安定性と信頼性が高まる結果につながります。

Q8. 理念やビジョンがまだ明確でない場合、探究は始められますか?

始められますが、同時並行で理念づくりに取り組むと、課題の意味づけがしやすくなり、打ち手の一貫性も高まります。

Q9. 探究心を評価制度にどう反映すべきですか?

結果だけでなく、問いを立てる姿勢や仮説検証への貢献を評価項目に加えることで、探究行動を促進できます。

Q10. 外部のコンサルタントに依頼するメリットは何ですか?

社内だけでは気づきにくい視点を提供できること、利害関係のない立場から本音を引き出しやすいこと、そして探究のプロセスを体系的に導入できることがメリットです。私たちem株式会社でも、第三者の視点を活かした組織支援を行っています。


まとめ

  • 表面的な課題に騙されないためには、「現象」ではなく「構造」を見る探究心を、組織全体の共通言語として育てることが重要です。
  • 探究心は感覚ではなくスキルであり、問いの型・対話の場・理念との接続を通じて、どのような規模の組織でも鍛えることができます。
  • 理念・目的・ビジョンと日々の課題を結びつけて振り返ることで、中小企業でも持続可能な組織文化と本質的な問題解決のサイクルを築くことができます。

結論:探究心を組織の当たり前にすることが、本質的な組織課題を特定し続ける最も確実な方法です。


私たちem株式会社は、中小企業の組織づくりを支援するコンサルティング会社です。理念策定から組織設計、人材育成まで、本質的な課題解決に伴走いたします。表面的な対処ではなく、組織の土台から変えていきたいとお考えの経営者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。


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em株式会社(イーエムカブシキガイシャ)
代表取締役 郷司 光

経営理念:そうぞうの力で未来を描く
Purpose:中小企業の魅力を引き出し国力を上げる
Vision:革新的な日本型経営モデルの確立
Mission:思いを形にし理想の企業文化を創造

所在地:〒486-0817 愛知県春日井市東野町3丁目29番地7

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お問い合わせ:https://em-company.jp

事業内容:

DX化・WEB集客サポート
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