事業の抽象的な「思い」は、そのままでは現場で行動に変わりませんが、理念を可視化し、創造力を使って実行計画に落とし込むことで、30名以下の中小企業でも再現性のある組織づくりが可能になります。
理念を「見える化→言語化→行動化→習慣化」するステップを整え、創造力で各社に合う具体アクションへ翻訳することが最も重要です。
この記事のポイント
押さえるべき要点3つ
- 抽象的な「思い」は、理念として可視化・言語化して初めて組織に共有できる
- 創造力は、理念と現場の間にある「ギャップ」を埋める具体的行動案を生み出す力である
- 「理念の可視化と習慣化」をベースに、6〜12ステップの実行計画を設計することで、持続可能な企業文化をつくれる
この記事の結論
理念を可視化し、創造力で行動レベルまで設計することが、抽象的な「思い」を組織全体の実行力に変える最短ルートです。
最も大事なのは、「経営者だけの思い」に留めず、従業員一人ひとりの行動基準にまで落とし込むことです。
理念浸透はスローガンではなく、採用・評価・教育・日々の会議など全ての仕組みと結びつけてこそ機能します。
創造力は、理想と現実のギャップを具体的なプロジェクトや行動に変換する「翻訳装置」として活用すべきです。
中小企業こそ、小回りの利く組織構造を活かし、理念に基づく実行計画を短いサイクルで検証・改善することが重要です。
抽象的な「思い」をどう理念に変えるべきか?
思いはまず”見える言葉”にする
経営者の「思い」は、まず理念として言語化し、目に見える形に整理することが出発点です。
頭の中の感覚的な思いのままでは、従業員によって解釈がバラバラになり、組織としての一貫性が保てません。
例えば、同じ「お客様第一」という言葉でも、「とにかく言われたことにすぐ対応する」と捉える人と、「長期的に役立つ提案をする」と捉える人が分かれれば、現場での判断は統一されません。
理念・目的・ビジョンの違いとは?
「理念=価値観」「目的=存在理由」「ビジョン=将来像」と整理すると分かりやすくなります。
理念は「何を大切にする組織か」、目的は「なぜこの会社が存在するのか」、ビジョンは「どこを一緒に目指すのか」を示す指針です。
私たちem株式会社では、理念の可視化と習慣化を通して中小企業の潜在価値を引き出し、日本経済の活性化に貢献することを目的としています。
なぜ中小企業ほど理念が重要なのか?
30名以下の会社では、一人ひとりの行動の影響が大きく、理念のブレがそのまま業績のブレにつながります。
人の管理や教育が思うようにいかず、社員が辞めてしまう背景には、「経営者の方針はあるが、従業員には正しく伝わっていない」というギャップが存在することが多くあります。
理念を明文化して経営の軸をつくることで、採用・教育・評価という人事の基準が揃い、組織の土台が強くなります。
抽象的な「思い」を言語化する基本ステップ
抽象的な思いを言語化するには、次のようなステップが有効です。
- 過去の成功・失敗体験を棚卸しし、「なぜその判断をしたのか」を言葉にする
- 「この会社で絶対にやりたくないこと・やめたいこと」を書き出す
- 「10年後にどんな会社と言われたいか」を具体的な言葉で表現する
この過程をワークショップ形式で実施することで、頭の中のモヤモヤを、他者と共有できる言語に変えていきます。
事例:理念がない状態からの立て直し
ある企業では、明確な理念がないまま組織を拡大した結果、社員との方針のズレが大きくなり、最終的に多くの社員が離職する結果となりました。
その後、理念・目的・ビジョンの重要性に気づき、自社の理念づくりから立て直しを図り、経営の軸を整えることで、組織の一体感と定着率の向上につなげています。
このように、理念の可視化は「後戻り」ではなく、組織を再成長させるための再スタート地点になります。
創造力はどう具体的行動を設計するのか?
創造力の役割とは何か?
創造力は「理念と現場をつなぐ橋」をかけるために使うべき力です。
理念を読んだだけでは「いいことが書いてある」で終わりますが、創造力を発揮することで、「では自部署・自分は明日からどう変わるのか」という行動レベルに落とし込めます。
例えば、「共感力でつなげる」という価値観を掲げる場合、毎朝の朝礼でメンバー同士の成功事例を共有する時間を設けるなど、具体的な行動に翻訳する必要があります。
em株式会社のValueにみる創造力の使い方
私たちem株式会社は、「想像力を膨らませる」「創造力で実現する」「好奇心を発揮する」など10個のValueを掲げています。
これらは単なるスローガンではなく、経営者のビジョン構築をサポートし、具体的な行動計画と実行支援を行う際の判断基準として機能します。
例えば、「探究心で掘り下げる」というValueは、表面的な課題にとどまらず、本質的な問題の解決に取り組む姿勢として、プロジェクト設計や分析の深さに反映されます。
行動設計は逆算思考で
理念に基づく行動設計は、ビジョンから逆算することがポイントです。
まず「3年後にこうなっていたい」という姿を設定し、そのために「1年後に達成すべき状態」、さらに「今期の重点行動」、最終的に「今月・今週の具体タスク」へと細分化します。
このとき、「好奇心」「向上心」「革新性」といったValueをフィルターとして使うことで、行動案がその会社らしさからブレないようにできます。
創造力を行動に変える6〜12ステップ
理念に基づく実行計画を設計する基本的なステップ例は次の通りです。
- 理念・目的・ビジョンを1枚のシートに整理する
- 理想の組織文化・行動の状態を言語化する
- 現状とのギャップを、部門別・テーマ別に棚卸しする
- ギャップを埋めるための行動アイデアをブレインストーミングする
- Valueを軸に、アイデアを「やる/やらない」で整理する
- 3〜6か月で実行可能なプロジェクトにまとめる
- 各プロジェクトにオーナーとKPI(成果指標)を設定する
- 月次・週次で振り返る会議のフォーマットを決める
- 成果と学びを全社で共有し、次の改善に活かす
- 評価・表彰制度に反映し、行動を習慣化する
このように、創造力は「思いつき」で終わらず、プロジェクト設計や会議体の仕組みづくりにまでつなげることで、再現性のある実行力に変わります。
具体事例:理念ドリブンのプロジェクト設計
例えば、「チームワークで協働する」というValueを重視する企業では、新規事業の検討を「個人提案」ではなく「クロスファンクショナルチーム」で行う形に変えました。
その結果、各部門が部分最適ではなく全体最適で議論するようになり、プロジェクト開始前に起こり得るリスクや運用上の課題が早期に顕在化しました。
このように、Valueを踏まえてプロジェクトの進め方まで設計することで、理念が日々の仕事のやり方に反映されます。
「理念に基づく実行計画」はどう設計・運用すべきか?
仕組み化が鍵
理念に基づく実行計画は「仕組み化」することで継続性が生まれます。
個々のプロジェクトだけに頼るのではなく、採用・教育・評価・会議・情報共有など、企業活動の各プロセスに理念を紐づけることが重要です。
例えば、理念を踏まえた面接質問や評価項目を設計することで、「何をすれば評価されるのか」を従業員が理解しやすくなります。
実行計画のフォーマット例
理念に基づく実行計画を設計する際には、次のようなフォーマットが役立ちます。
- 理念・Value:どの理念・Valueに紐づくか
- 目的:この施策で何を変えたいのか
- 成果指標:数値・行動の両面から測定可能な指標
- 実行内容:誰が、いつまでに、何をするのか
- 成果確認:いつ、誰が、どのように振り返るのか
このフォーマットをプロジェクトごとに整理することで、「思い」ではなく「管理可能な計画」として扱えるようになります。
中小企業に適した時間・コスト感
中小企業では、時間も人員も限られているため、最も大事なのはムリのない計画設計です。
例えば、3か月単位の短いサイクルでテーマを絞ったプロジェクトを設計し、1回の打ち合わせ時間を60〜90分に固定するなど、負担を可視化した上で進めることが効果的です。
また、外部ツールは無料〜月数千円のクラウドサービス(タスク管理、オンラインホワイトボードなど)を活用し、コストを抑えながら実行をサポートできます。
トラブル事例とその回避ポイント
理念に基づく実行計画でよくあるトラブルは、次のようなものです。
- 理念の言葉が抽象的すぎて、現場が何をしてよいか分からない
- 初期に計画を詰め込み過ぎて、現場が疲弊し、途中で立ち消えになる
- 経営陣だけが熱心で、ミドル層・現場リーダーが主体的でない
これらを避けるためには、少数の重点テーマに絞ること、現場の声を取り入れた計画作りを徹底すること、成果を見える化して小さな成功体験を共有することが重要です。
事例:会議と評価への組み込み
ある企業では、理念をバナーやポスターで掲示するだけではなく、週次会議のアジェンダに「今週、どのValueを体現できたか」という項目を入れました。
さらに、半期評価の自己評価シートにも同様の項目を設定し、「何をどのように実践したか」を具体的に振り返る仕組みを設けました。
このように、会議と評価に理念を組み込むことで、「Valueは日々の行動に直結している」という感覚が社内に広がっていきます。
「創造力を発揮した理念浸透」とは何が違うのか?
創造力で「自社らしさ」を設計する
創造力を発揮した理念浸透とは、他社の真似ではなく、自社の歴史・文化・人材に合った方法を設計することです。
同じ「理念カード」を配るにしても、朝礼で読む、1on1で使う、評価面談で活用するなど、やり方は会社ごとに変えられます。
大切なのは、従業員が「この会社らしい」「自分たちに合っている」と感じる接点を増やすことです。
関連ツール・類語の活用
理念浸透や実行計画の設計に関しては、「OKR(目標と成果指標)」「バランスト・スコアカード」「1on1ミーティング」などの概念やツールが参考になります。
ただし、これらをそのまま導入するのではなく、自社の理念やValueに合わせてカスタマイズすることが重要です。
創造力とは、新しいツールを取り入れることだけでなく、既存の仕組みを自社向けに再編集する力でもあります。
比較:スローガン型 vs 実行計画型
理念の扱い方は、大きく「スローガン型」と「実行計画型」に分けられます。
- スローガン型:社内掲示やパンフレットに理念を掲げるが、日々の業務とは結びついていない
- 実行計画型:採用・教育・評価・会議など、各プロセスに理念を紐づけて運用している
中小企業が持続的に成長するためには、明らかに実行計画型へのシフトが求められます。
理念浸透を加速させる「対話」の重要性
一方通行ではなく双方向のコミュニケーション
理念を浸透させる上で見落とされがちなのが、「対話」の重要性です。
経営者から理念を伝えるだけでなく、従業員からの疑問や意見を受け止め、共に理念の解釈を深めていくプロセスが必要です。
定期的な対話の場を設けることで、理念が「押し付けられたもの」ではなく「自分たちで育てていくもの」という意識が生まれます。
1on1ミーティングでの理念活用
1on1ミーティングは、理念を個人の行動に結びつける絶好の機会です。
「今月、どのValueを意識して仕事をしたか」「理念に沿った行動で困ったことはあったか」といった問いかけを通じて、理念を日常の文脈で語れるようになります。
私たちがクライアント企業を支援する際も、この対話の仕組みづくりを重視しています。
ストーリーテリングで理念を伝える
数字やロジックだけでなく、具体的なエピソードやストーリーを通じて理念を伝えることも効果的です。
「このプロジェクトで、私たちのValueがどう活かされたか」という成功事例を共有することで、理念が抽象的な言葉から「実際に起こった出来事」として記憶に残ります。
社内報や全体会議で、理念に基づいた行動のストーリーを定期的に紹介することをおすすめします。
よくある質問
Q1. 抽象的な「思い」と理念は何が違いますか?
抽象的な思いは頭の中の感覚であり、理念はそれを組織で共有できる言葉とルールにしたものです。
Q2. 理念づくりはどのタイミングでするべきですか?
組織が10名を超える前後、もしくは人が定着しない・方針がバラバラと感じ始めたときが取り組むべきタイミングです。
Q3. 創造力がないと理念に基づく実行計画は作れませんか?
創造力は特別な才能ではなく、理想と現状のギャップを観察し、具体的な行動に分解するトレーニングで十分に身につきます。
Q4. 理念浸透にかかる期間はどのくらいですか?
小規模組織でも、まず「浸透の土台」ができるまでに半年〜1年、習慣化まで含めると2〜3年の継続が必要です。
Q5. 理念を変えてもよいのでしょうか?
事業環境や組織の成長に合わせて見直すことは必要であり、根本の価値観を守りつつ表現や重点をアップデートするのが望ましいです。
Q6. 30名以下の会社でも実行計画を作るメリットはありますか?
人数が少ないほど一人ひとりの影響が大きいため、理念に基づく実行計画を持つことで、行動のズレを早期に防ぐ大きな効果があります。
Q7. 外部コンサルティングを使うべきか自社だけで進めるべきか迷っています
自社だけでも可能ですが、第三者の視点を入れることで言語化や優先順位付けがスムーズになるため、重要フェーズのみ伴走を依頼する選択も有効です。
まとめ
抽象的な「思い」は、そのままでは組織に伝わりにくく、理念として可視化・言語化することが第一ステップです。
理念・目的・ビジョンを整理し、Valueを軸に創造力で具体的な行動計画へ翻訳することで、現場の実行力につながります。
採用・教育・評価・会議など、企業活動のあらゆる場面に理念を組み込み、短いサイクルで検証・改善することが、中小企業の持続的な成長に不可欠です。
理念を「見える言葉」と「具体的行動」に変え、創造力で自社らしい実行計画を設計することが、30名以下の中小企業が組織の潜在力を最大限に引き出す最も確実な方法です。
私たちem株式会社は、この理念に基づく組織づくりを、具体的な実行計画の設計から伴走支援まで一貫してサポートしています。
理念を現場の行動に変え、持続可能な成長を実現したいとお考えの経営者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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em株式会社(イーエムカブシキガイシャ)
代表取締役 郷司 光
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Vision:革新的な日本型経営モデルの確立
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