企業理念を根付かせる二つの力:創造力とチームワークの実践

はじめに:理念が形骸化する理由

多くの企業が経営理念やビジョンを掲げています。しかし、その理念が実際の現場で活かされ、従業員一人ひとりの行動に根付いている企業は、実は多くありません。

立派な額縁に入れられた理念が社長室の壁に飾られているものの、現場の社員はその内容をほとんど覚えていない。朝礼で唱和はするけれど、実際の業務判断には全く影響していない。こうした状況は、決して珍しいものではないのです。

私たちem株式会社は、30名以下の中小企業の経営者様をサポートする中で、この「理念の形骸化」という課題に何度も直面してきました。そして、理念を真に組織の軸として機能させるためには、二つの力が不可欠であることを確信しています。

それが「創造力」と「チームワーク」です。

創造力は、抽象的な経営者の思いを具体的な行動計画や仕組みという形に変える力です。そしてチームワークは、その計画を組織全体で実行し、目標達成に向けて一丸となる力です。

本記事では、私たちが実際の支援現場で培った経験をもとに、理念を習慣化させるための実践的な方法をお伝えします。


第1章:理念なき組織が直面する危機

組織崩壊の実体験から学んだこと

私たちem株式会社の代表自身、かつて事業を始めた当初、理念もビジョンもない状態で会社を運営していました。友人と共に「なんでも屋」としてスタートし、その後電気工事業へと方向転換。社員を雇用し、組織として成長していきました。

しかし、組織が大きくなるにつれて、深刻な問題が表面化しました。

経営者である代表の中では一貫した方針があったつもりでも、それが社員には正確に伝わっていませんでした。同じ指示を出しているのに、社員によって解釈が異なり、行動もバラバラになっていったのです。

「なぜ、自分の考えが伝わらないのだろう」 「どうして、同じ目標に向かって進めないのだろう」

こうした疑問と葛藤の中で、組織の求心力はどんどん失われていきました。そして最終的に、社員全員が辞めてしまうという、経営者にとって最も厳しい状況を経験することになったのです。

共通の軸がない組織の脆弱性

この痛切な経験から得た最大の教訓は、「組織を長く存続させるためには、理念・目的・ビジョンが不可欠である」ということでした。

理念という共通の軸が存在しない組織は、極めて脆弱です。個々の社員がそれぞれの価値観で判断し、それぞれの方向を向いて働くことになります。チームワークは生まれず、創造的な取り組みも組織として展開できません。

経営者が「こうしたい」と思っても、社員は「なぜそうするのか」を理解できない。社員が「こうしたい」と提案しても、経営者は「それは会社の方向性と違う」と感じる。こうしたすれ違いが日常的に発生するのです。

理念づくりへの挑戦

この危機を乗り越えるため、代表はまず「自社の理念づくり」に本気で取り組みました。経営の軸をつくることが、組織を強くするために絶対に必要だと考えたからです。

そして、その経験こそが、現在の私たちem株式会社の事業の原点となっています。

私たちが30名以下の中小企業の経営者様を支援する理由は、まさにここにあります。経営者の心の中には熱い思いがあるのに、それを従業員と共有できる具体的な形にできていない。この状態を解消し、理念の可視化と習慣化を通して、企業の成長と発展を促進することが、私たちの使命なのです。


第2章:創造力で理念を具体的な形にする

抽象的な思いを行動に変える力

理念を習慣化させるための第一歩は、抽象的な概念を具体的な行動やプロセスに落とし込むことです。これが、私たちが重視する「創造力」の本質です。

創造力とは、単にアイデアを出すことではありません。アイデアを実際に機能する形にし、具体的な行動計画と実行支援により、理想の企業文化を創り上げる力のことを指します。

たとえば、「誠実な会社でありたい」という理念があったとします。これは素晴らしい価値観ですが、このままでは抽象的すぎて、従業員は何をすればいいのか分かりません。

「誠実って、具体的に何をすること?」 「どんな行動が誠実で、どんな行動が誠実でないの?」

こうした疑問に答え、理念を日々の行動指針に変換することが、創造力の役割なのです。

実践事例1:理念を評価制度に組み込む

理念が習慣化しない最大の理由の一つは、それが日々の評価や給与に直結しないことです。つまり、「やってもやらなくても変わらない、努力目標」と見なされてしまうのです。

私たちがある製造業のクライアント様を支援した際、まさにこの課題に直面しました。社長は「お客様第一」という理念を掲げていましたが、実際の評価は売上と生産効率だけで決まっていました。

そこで私たちは、理念を評価制度に組み込む仕組みを創造しました。

まず、「お客様第一」という抽象的な理念を、具体的な行動レベルに分解します。

  • 納期を守る確率
  • 顧客からのクレーム対応の速度と質
  • 顧客への提案件数
  • 顧客満足度調査の結果

これらの具体的な指標を評価制度に組み込み、四半期ごとの面談で、売上目標だけでなく「理念実践度」も評価する仕組みを構築したのです。

この取り組みの結果、従業員の意識は劇的に変わりました。理念が「壁に飾られた言葉」から「自分の評価を左右する重要な行動指針」へと変わったのです。

実践事例2:理念浸透のためのコミュニケーションツール

理念を習慣化させるためには、従業員が日常的に理念に触れる機会を創造することも重要です。

ある建設会社のクライアント様では、「安全第一」という理念がありながら、小さな事故が絶えない状況でした。朝礼で「安全第一」と唱和はしているものの、実際の現場では納期優先の判断が横行していたのです。

私たちは、単なる研修やマニュアルではなく、より革新的で従業員が受け入れやすいツールを創造しました。

それが「セーフティサンクスカード」という仕組みです。

従業員同士が、理念に沿った行動を互いに称賛し合うカードシステムを導入したのです。「今日、○○さんが危険な箇所を事前に確認していた姿を見ました。安全第一の実践、ありがとうございます」といったメッセージを書いたカードを渡し合う仕組みです。

このツールは、理念を「押し付けられるもの」から「仲間と共有する価値観」へと変えました。カードをもらった従業員は嬉しく感じ、自分も理念に沿った行動をしようと自然に思うようになります。

さらに、月末には最も多くカードをもらった従業員を表彰する仕組みも設けました。これにより、理念に基づく行動が可視化され、組織全体に広がっていったのです。

創造力が理念を生きたものにする

このように、創造力とは理念実現のために必要な「新しい仕組み」を生み出す力です。理念が形式化することを防ぎ、常に新鮮で実行可能な状態に保つためのエンジンとなります。

私たちem株式会社は、クライアント企業ごとの状況や文化に合わせて、最適な仕組みを一緒に創造します。画一的なテンプレートを押し付けるのではなく、その会社ならではの理念浸透の形を、経営者様と共に探求するのです。


第3章:チームワークで理念を組織に定着させる

設計図を実行に移す力

創造力によって理念の「設計図」が完成したら、次はその実行段階です。どんなに素晴らしい仕組みを創造しても、それを実際に組織に定着させなければ意味がありません。

ここで不可欠となるのが「チームワーク」の力です。

チームワークとは、クライアント企業の課題解決に向けて、私たちと経営者様、そして従業員の皆様が一体となって目標達成を目指す姿勢のことです。理念の習慣化という長期的な目標をブレずに達成するための実行力を担保します。

実践事例3:抵抗を乗り越える協働の力

理念の習慣化プロセスでは、必ずと言っていいほど、組織内部の抵抗に遭遇します。

あるIT企業のクライアント様では、新しい評価制度を導入しようとした際、ベテラン社員から強い反発がありました。

「今まで売上だけで評価されてきたのに、急に理念がどうこう言われても困る」 「そんな曖昧な基準で評価されたら、不公平じゃないか」

こうした声は、変化に対する自然な反応です。しかし、ここで経営者が孤立してしまうと、改革は頓挫してしまいます。

私たちは、クライアント企業のチームの一員として、この抵抗を乗り越えるためにサポートしました。

まず、反対している社員の方々と直接対話の場を設けました。一方的に新制度を押し付けるのではなく、なぜこの制度が必要なのか、どのように評価するのか、疑問や不安に丁寧に答えていきました。

さらに、試験的に3ヶ月間だけ新制度を導入し、その間のフィードバックを基に改善を重ねる方式を提案しました。「完璧な制度」を最初から求めるのではなく、「一緒に育てていく制度」という姿勢を示したのです。

この協働のアプローチにより、当初反対していた社員の方々も徐々に理解を示し、最終的には新制度の推進役になってくださいました。

実践事例4:本質的な課題を探究する

理念の習慣化を妨げる要因は、表面的なものだけではありません。組織の深層に、より本質的な課題が潜んでいることがあります。

ある小売業のクライアント様では、「社員が理念に無関心」という現象が続いていました。経営者は研修を何度も実施しましたが、効果は一時的で、すぐに元の状態に戻ってしまうのです。

私たちはチームとして、この問題の本質を探究しました。

従業員の方々と個別に面談を重ねる中で、見えてきたのは「過去の経営者の言動への不信感」でした。以前の経営者が「お客様第一」と言いながら、実際には売上至上主義で、従業員を使い捨てのように扱っていた経験があったのです。

つまり、理念への無関心は「どうせ口だけだろう」という、過去の傷に基づく防衛反応だったのです。

この本質的な課題を特定できたことで、私たちのアプローチは大きく変わりました。単に理念を伝えるのではなく、まず「今の経営者は本気である」ことを、行動で示す必要があったのです。

経営者様には、小さなことから理念に基づいた判断を積み重ねていただきました。短期的な利益を犠牲にしても、お客様や従業員のためになる選択を続けることで、徐々に信頼が回復していきました。

そして約1年かけて、ようやく理念が組織に根付き始めたのです。

チームワークが持続的な変化を生む

このように、チームワークは創造力によって生まれた設計図を、組織の深層にある課題に対処しながら、確実に定着させるための実践的な力です。

私たちem株式会社は、単なるコンサルタントとして外部から指示を出すのではなく、クライアント企業のチームの一員として、共に汗を流し、共に課題を乗り越えていきます。

理念の習慣化は、一過性のプロジェクトではありません。組織文化として根付くまで、継続的な努力が必要です。チームワークは、この長い道のりを支える構造となるのです。


第4章:創造力とチームワークが生み出す未来

組織の潜在力を最大限に引き出す

創造力とチームワークの実践は、目の前の目標を達成するだけでなく、組織の潜在的な価値を最大限に引き出します。

理念が習慣化された組織では、従業員一人ひとりが共通の軸を持って行動します。そのため、経営者がいちいち細かい指示を出さなくても、従業員は自ら判断し、行動できるようになります。

これは、組織の生産性や創造性を飛躍的に高めます。

あるサービス業のクライアント様では、理念の習慣化により、従業員の自発的な改善提案が年間で3倍に増加しました。理念という共通言語ができたことで、「こうしたら、もっとお客様に喜んでもらえる」という発想が、組織全体から生まれるようになったのです。

働く人々のやりがいを高める

理念が根付いた組織では、従業員は自分の仕事が会社のビジョンに貢献していることを実感できます。これが、働く人々のやりがいを大きく高めます。

単に「給料のために働く」のではなく、「この理念を実現するために働く」という意識を持てるようになると、仕事への取り組み方が変わります。困難な課題にも前向きに挑戦し、成長を実感できるようになるのです。

私たちがサポートしたある企業では、理念浸透の取り組みを始めてから1年後、従業員満足度調査で「仕事にやりがいを感じる」と答えた社員が20ポイント以上増加しました。

持続可能な企業文化の構築

創造力とチームワークの実践により、企業は常に新しい知見を取り入れ、現状に満足しない文化を育むことができます。

理念を軸としながらも、時代の変化や市場の要請に応じて、柔軟に仕組みを進化させていく。この動的なバランスこそが、持続可能な企業文化の本質です。

私たちem株式会社は、30名以下の中小企業が、こうした強靭で柔軟な組織文化を構築することをサポートしています。それは、個々の企業を強くするだけでなく、地域経済、ひいては日本経済全体の活性化にも貢献することだと信じています。


おわりに:理念は行動の連鎖から生まれる

理念の習慣化を促す「創造力」と「チームワーク」は、互いに補完し合う関係にあります。

創造力は、経営者の熱い思いと未来のビジョンを具体的な行動可能な設計図に変え、理念が形骸化するのを防ぎます。一方、チームワークは、その設計図を組織全体で共有し、障壁を乗り越えながら、実行と定着を確実にする実行構造を提供します。

どちらか一方だけでは不十分です。素晴らしい仕組みを創造しても、それを実行するチームワークがなければ絵に描いた餅になります。逆に、チームワークがあっても、具体的な仕組みがなければ、何をどう実行すればいいのか分かりません。

この二つの力を両輪として機能させることで、初めて理念は組織の確固たる軸として習慣化されるのです。

私たちと共に未来を創りましょう

かつて理念やビジョンを持たずに組織崩壊の危機を経験した私たちだからこそ、中小企業の経営者様の悩みや課題が深く理解できます。

そして、その経験を乗り越えて得た知見を、今度は皆様の企業の成長のためにお役立ていただきたいと考えています。

私たちem株式会社は、創造力とチームワークを最大限に活かし、理念を組織の確固たる軸として習慣化させ、持続可能で、働く人々のやりがいに満ちた企業文化を、皆様と共に創り上げます。

理念を壁の飾りではなく、未来を切り開く生きた羅針盤へ。

創造力とチームワークの実践は、その実現のための確かな道筋なのです。

皆様の企業が、理念を軸とした強い組織へと成長していくお手伝いを、私たちにさせていただけませんか。共に、理想の企業文化を創り上げていきましょう。


━━━ ■ ━━━

em株式会社(イーエムカブシキガイシャ)
代表取締役 郷司 光

経営理念:そうぞうの力で未来を描く
Purpose:中小企業の魅力を引き出し国力を上げる
Vision:革新的な日本型経営モデルの確立
Mission:思いを形にし理想の企業文化を創造

所在地:〒486-0817 愛知県春日井市東野町3丁目29番地7

Webサイト:https://em.80462.co.jp
お問い合わせ:https://em-company.jp

事業内容:

DX化・WEB集客サポート
企業理念浸透支援
理念策定フレームワーク作成支援
理念経営実行ツール作成・導入支援

━━━ ■ ━━━

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です