組織が直面する定着率の課題を根本から解決する理念構築の重要性

はじめに:なぜ優秀な人材は辞めてしまうのか

中小企業の経営者の皆様が最も頭を悩ませる課題の一つが、優秀な人材の定着率です。特に、会社の規模が30名以下から拡大していく段階で、給与や待遇を改善してもなお社員が辞めてしまう、という状況に直面することは珍しくありません。

採用に時間とコストをかけて新しい人材を迎え入れても、数ヶ月で退職されては、経営に大きな打撃を与えます。しかし、この問題の本質は給与や福利厚生だけにあるわけではありません。

実は、多くの組織が直面する定着率の課題の根本原因は、「働くやりがい」の喪失にあります。言い換えれば、社員が自分たちの仕事の意味や目的を見いだせないことが、離職につながっているのです。

その背景には、組織を支える「理念」や「経営の軸」が明文化されていない、あるいは浸透していない状況があります。経営者自身は強い熱意と一貫した方針を持っているかもしれません。しかし、それが形にされず、社員に正確に伝わらなければ、結果として社員によって解釈が異なり、組織全体の足並みが揃わなくなってしまいます。

本記事では、em株式会社が自らの危機的な経験から学んだ「理念不在がもたらす定着率の課題」と、その解決策となる「理念構築戦略」について、詳しくお話しします。

第1章:理念なき組織がたどる悲劇的な末路

軸なき起業で何が起こったのか

em株式会社の代表は、会社を立ち上げた当初、理念もビジョンも持たずに事業をスタートしました。友人と共に「なんでも屋」として始まったその事業は、やがて電気工事業へと方向を定めることになります。

組織の規模は決して大きくありませんでした。最も多い時期でも社員は2名という、本当に小さな組織です。にもかかわらず、深刻な問題に直面することになりました。

それは、「人の管理や教育が思うようにいかない」という課題です。経営者がどれほど強い熱意を持っていても、組織全体が共有すべき「経営の軸」が存在しない状態では、次々と問題が生まれてしまうのです。

軸がないことで生まれた三つの問題

まず第一に、経営方針が正確に伝わらないという問題がありました。

経営者の中には「これがこの会社の方針だ」という明確な考えがあります。しかし、それが明文化されず、組織全体に周知されないままでいると、社員は経営者の真の意図を理解できません。さらに悪いことに、複数の社員がいる場合、彼らがそれぞれ異なる解釈をしてしまうのです。

結果として、営業方針一つとっても、社員によってアプローチが全く異なるということが起こります。サービスの品質にばらつきが出たり、顧客対応に一貫性がなくなったりするのです。

第二に、経営の不安定化が招きました。

解釈のズレが組織内に蔓延すると、組織としての一体性が失われます。全員が同じ方向を向いて仕事をしていないため、経営全体が揺らぎ始めるのです。

顧客対応でもトラブルが増え、内部のコミュニケーションもギクシャクし始めます。そうなると、組織の雰囲気は悪くなり、社員のモチベーションはどんどん低下していきます。

第三に、そして最も深刻なのが、社員が定着しなくなることです。

働く意味が見えず、組織の方向性も不明確な環境では、社員は「この会社で働き続ける理由」を見いだせません。少しでも良い条件の会社が見つかれば、あるいは何か別の機会が生まれれば、社員はそちらへ流れていってしまうのです。

em株式会社では、最終的に社員全員が辞めてしまうという、経営者にとって最も辛い経験をすることになりました。

第2章:理念不在が「働くやりがい」を奪うメカニズムを理解する

働くやりがいが奪われるプロセス

理念が組織に存在しない、あるいは十分に浸透していない状態では、社員から「働くやりがい」が次第に失われていきます。このプロセスは、決して急激に起こるのではなく、静かに、しかし確実に進行していくのです。

最初に起こるのは「目的の曖昧化」です。

理念やビジョンは、組織が目指すべき方向性を示す羅針盤です。社員の日々の仕事が、最終的に何に繋がるのか、どんな価値を生み出しているのかを示す指標になります。

しかし、この指標がなければ、社員は毎日のタスクをこなすことに終始してしまいます。「何のためにこの仕事をしているのか」という根本的な問いに対する答えを持たないまま、仕事を続けることになるのです。

営業職であれば、単に売上目標を追うだけになります。製造現場なら、ただ製品を作り続けるだけです。この仕事が社会にどう貢献しているのか、顧客にどう喜ばれているのか、そうした視点が失われてしまいます。

次に起こるのは「成長機会の不明瞭化」です。

組織の理念は、その組織が求める行動規範や、将来的に目指すべき理想の姿を描くものです。これが明確でなければ、社員は「自分たちが今後どこを目指して成長すべきか」が分からなくなります。

結果として、教育や研修の方向性も定まらず、社員は自身のキャリアパスを描くことができません。「向上心を持って成長したい」という気持ちがあっても、その向かうべき方向が見えないのです。

この状況が続くと、社員の向上心は徐々に失せていきます。頑張ることの意味が感じられないため、現状に満足し、挑戦を避けるようになってしまうのです。

最後に起こるのは「貢献度の不可視化」です。

理念は、組織全体を一つに結ぶ接着剤のような役割を果たします。共有した理念があれば、全員が同じ目的に向かって働いているという一体感が生まれます。

理念がない組織では、この一体感が欠けてしまいます。社員は「自分の仕事が組織にどう貢献しているのか」が見えず、孤立感を感じるようになります。

また、組織としてどんな価値を生み出しているのかも不明確なため、社員は組織に対する誇りや帰属意識を持つことができません。その結果、社員は組織への長期的なコミットメントを失い、転職を検討するようになるのです。

第3章:理念構築によるやりがいの回復と定着率向上の戦略

経営の軸を明文化することから始まる

理念不在の課題を根本から解決するには、理念を明文化し、組織の経営の軸を確立することが不可欠です。これは単なるスローガンの作成ではなく、組織全体が共有し、行動の基準となる、本質的な「思い」と「方向性」を形にするプロセスです。

経営者の皆様の多くは、既に強い「思い」をお持ちです。「こんな会社にしたい」「こんな価値を提供したい」「こんな世界を実現したい」といった、熱い想いです。

しかし、その想いが形にされないままでいると、社員に正確に伝わりません。さらに悪いことに、伝わっても社員によって解釈が異なってしまうのです。

理念を明文化するということは、その想いを言語化し、組織全体で共有できる形にすることです。こうすることで、全ての社員が同じ方向を向くようになり、組織としての一貫性が生まれます。

潜在的価値を可視化する

日本の中小企業の多くは、実は素晴らしい技術力や、顧客を大切にする姿勢、革新的なアイデアなど、大きな潜在的価値を持っています。

しかし、そうした価値が組織の中で明確に認識されていなければ、社員はそれを実感することができません。結果として、自分たちがどれほど素晴らしい仕事をしているのかを知らないまま、単なる日々の作業をこなし続けることになります。

理念を構築する過程で、組織の潜在的価値を可視化することが重要です。つまり、「私たちは何が得意なのか」「私たちはどんな価値を顧客に提供しているのか」「私たちが実現したい世界は何か」といったことを明確にするのです。

こうして潜在的価値が明確になると、社員の仕事に対する見え方が全く変わります。単なる作業ではなく、大きな価値創造に参加しているという認識を持つようになり、やりがいが大きく高まるのです。

共創の精神で理念を浸透させる

理念構築において、重要なのは「共創」です。つまり、経営者が一方的に理念を決め、それを社員に押し付けるのではなく、社員と共に理念を作り上げるというプロセスです。

社員を巻き込み、対話を重ねながら理念を形作っていくことで、社員は理念に対して強い当事者意識を持つようになります。「これは私たちが一緒に作ったものだ」という認識があれば、その理念に基づいて行動することが苦痛ではなく、むしろ喜びになるのです。

特に、30名以下の会社の経営者の皆様の場合、「思いはあるが形にするのが難しい」とお感じになっているかもしれません。em株式会社では、そうした想いを、社員と共有できる形へと作り上げるお手伝いをしています。

この過程で大切なのは、経営者と社員との心理的な距離を縮めることです。社員が経営者の想いを深く理解し、経営者も社員の声に耳を傾ける。そうした双方向のコミュニケーションが、真の理念構築を可能にするのです。

第4章:理念を実行に落とし込むための具体的アプローチ

心理的距離を縮めるコミュニケーション

理念構築の第一歩は、経営者と社員の心理的な距離を縮めることです。社員が経営者の想いに寄り添い、経営者も社員の考えを理解する。そうした関係があってこそ、本当の意味での理念共有が可能になります。

具体的には、定期的な対話の場を設けることが重要です。経営者が一方的に話すのではなく、社員の声をしっかり聞く。社員が何を感じ、何を考えているのかを理解する。

このプロセスを通じて、経営者の想いが社員に正確に伝わり、かつ社員の視点が経営者の視野を広げることになるのです。

また、重要なのは誠実性です。常に正直で透明性のある関係を構築することが、長期的な信頼関係につながります。社員が経営者を信頼できれば、その経営者から示される理念に対しても真摯に向き合うようになります。

成長機会を明確にする

理念が形になった後、次に重要なのは、その理念に基づいた成長の道筋を社員に示すことです。社員一人ひとりが、この組織の中でどう成長できるのか、どんなキャリアを描けるのかが明確になれば、やりがいはさらに高まります。

新しい可能性を常に探求する姿勢が組織文化として根付くことで、社員は停滞感から解放されます。「この会社で働き続けることで、自分はどう成長するのか」という問いに対して、明確な答えを持つことができるようになるのです。

実際に、理念に基づいた具体的な行動計画を立て、それを実行に移していくことも重要です。計画が形になれば、社員は目指すべきゴールを明確にでき、その道筋を歩むことで自信と達成感を得られます。

チームワークで目標達成を目指す

理念構築は、単に文書を作ることではなく、組織全体を一つのチームとして機能させるプロセスです。経営者と社員が一緒に課題を解決し、共に目標達成を目指す。そうした協働の文化が、最も強力な「働くやりがい」を生み出すのです。

チームが一つの目標に向かって動くとき、社員は自分たちの仕事が組織全体にどう貢献しているかを実感できます。その実感が、貢献意識と帰属意識につながり、定着率の向上へと結びつくのです。

また、革新性を大切にする姿勢も重要です。既存の枠組みにとらわれず、新しい経営モデルに挑戦する環境は、社員に刺激とやりがいをもたらします。相互の強みを活かし、経営者と社員が共に新たな価値を創造するプロセスは、最も強力なモチベーション源となるのです。

終わりに:理念が組織の未来を決める

組織が直面する定着率の課題は、理念不在によって生まれる「働くやりがい」の喪失に起因しています。経営者が強い熱意を持ち、一貫した方針を持っていたとしても、それが形にされなければ、社員によって解釈が異なり、組織全体の足並みが揃わなくなります。

em株式会社は、理念・目的・ビジョンが組織の存続に不可欠であるという、自らの経験から得た教訓に基づき、理念構築支援を行っています。

理念の明文化と習慣化によって、社員は自分たちの仕事の目的と成長の道筋を得ることができます。その結果として、「働く人々のやりがい」が高まり、定着率の向上へとつながるのです。

組織を拡大・拡充したいと願う経営者の皆様、特に30名以下の会社の経営者の皆様へ、em株式会社からのお誘いです。

「思いはあるけれど、形にするのが難しい」そのお気持ちをお持ちでしたら、ぜひ一度em株式会社にご相談ください。私たちと共に、その熱い想いを理念という形に変え、組織全体に浸透させていきませんか。

理念による「働くやりがい」の創造こそが、定着率を向上させ、企業の成長と発展を促進する最も重要な投資なのです。私たちは、日本経済全体の活性化に貢献するという使命のもと、皆様の理念構築をサポートしてまいります。



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em株式会社(イーエムカブシキガイシャ)
代表取締役 郷司 光

経営理念:そうぞうの力で未来を描く
Purpose:中小企業の魅力を引き出し国力を上げる
Vision:革新的な日本型経営モデルの確立
Mission:思いを形にし理想の企業文化を創造

所在地:〒486-0817 愛知県春日井市東野町3丁目29番地7

Webサイト:https://em.80462.co.jp
お問い合わせ:https://em-company.jp

事業内容:

DX化・WEB集客サポート
企業理念浸透支援
理念策定フレームワーク作成支援
理念経営実行ツール作成・導入支援

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