はじめに:なぜ今、経営の軸が必要なのか
中小企業を経営していると、日々様々な判断を迫られます。新しいプロジェクトを始めるべきか、この社員をどう評価するか、どの方向に事業を拡大していくか。こうした判断の連続が、会社の未来を形作っていきます。
しかし、その判断基準がブレてしまうと、組織全体に混乱が生じてしまいます。「先週はこう言っていたのに、今週は違うことを言っている」「社長の考えていることが分からない」といった声が社員から上がり始めたら、それは危険信号です。
私たちem株式会社も、かつて同じ問題に直面しました。むしろ、会社が崩壊寸前まで追い込まれた経験があります。その苦い経験から学んだのが、経営判断に一貫性をもたらす「経営の軸」の重要性です。
この記事では、私たちが実際に経験した失敗と再生の物語を通じて、いかにして経営の軸を構築し、組織を強くしていくかについて、具体的にお伝えしていきます。特に、従業員30名以下の中小企業で、これから組織を拡大しようと考えている経営者の方に読んでいただきたい内容です。
第1章:理念なき経営が招いた組織崩壊の実体験
なんでも屋からのスタート
私たちem株式会社の代表が事業を始めたのは、明確な理念もビジョンも事業計画もない状態でした。友人と一緒に「なんでも屋」として起業し、その後、事業の方向性を電気工事業へと変更していきました。
当時は「とにかく仕事をこなして売上を作ろう」という考えが先行していました。理念やビジョンといった言葉は知っていましたが、「それは大企業がやることで、小さな会社には必要ない」と思い込んでいたのです。
最初のうちは、少人数だったこともあり、特に問題は表面化しませんでした。代表の考えが直接メンバーに伝わり、阿吽の呼吸で仕事が進んでいきました。しかし、会社が成長し、社員が増えていくにつれて、状況は一変します。
組織拡大で露呈した深刻な問題
社員が5名、10名と増えていく中で、代表は初めて「人の管理や教育が思うようにいかない」という壁にぶつかりました。自分では一貫した方針を持っているつもりでも、それが社員には正確に伝わっていなかったのです。
例えば、ある案件について「お客様の満足を最優先に考えて対応してほしい」と伝えたとします。しかし、ある社員は「お客様の要望を全て受け入れる」と解釈し、別の社員は「採算を考えながら対応する」と解釈していました。
同じ指示を受けても、社員一人ひとりによって解釈が違う。これが繰り返されることで、チーム内での意思疎通がうまくいかなくなり、トラブルが頻発するようになりました。代表は「なぜ自分の考えが伝わらないのか」と悩み、社員たちは「社長の言っていることが分からない」と不満を募らせていきました。
全社員退職という最悪の結果
組織が安定しないまま時間が過ぎていき、ついに最悪の事態が訪れます。社員が全員辞めてしまったのです。「この会社では自分が成長できない」「方向性が見えない」「何を目指しているのか分からない」。退職の理由は様々でしたが、根本にあったのは「経営の軸が明確でない」という問題でした。
この経験は、代表にとって人生で最も辛い出来事の一つでした。しかし同時に、最も重要な学びを得る機会でもありました。「組織を長く存続させるためには、理念・目的・ビジョンが不可欠である」という真理に、ようやく気づいたのです。
売上を上げることも、技術を磨くことも大切です。しかし、その根底に「なぜこの会社は存在するのか」「どこに向かっているのか」という明確な答えがなければ、組織は砂上の楼閣のように崩れてしまう。これが、私たちが高い代償を払って学んだ教訓です。
第2章:再建のために取り組んだ「理念づくり」
ゼロからの理念構築
全社員が退職した後、代表は一人で会社を立て直すことを決意しました。そして最初に取り組んだのが「自社の理念づくり」です。今度こそ、組織の根幹となる軸を明確にしようと考えたのです。
理念づくりは、想像以上に難しい作業でした。「何のために会社を経営するのか」「社会にどんな価値を提供したいのか」「どんな組織でありたいのか」。これらの問いに、真剣に向き合う必要がありました。
数週間かけて自問自答を繰り返し、ようやく自社の理念が形になっていきました。それは単なるかっこいい言葉の羅列ではなく、代表自身の本音であり、心の底から信じられる内容でした。
明文化することの重要性
理念を考える中で気づいたのは、「頭の中で考えているだけでは不十分」だということです。言葉として明文化し、誰が見ても同じように理解できる形にしなければ、以前と同じ失敗を繰り返してしまいます。
そこで、理念を一つ一つ丁寧に文章化していきました。「お客様第一」という言葉一つをとっても、「具体的にどういう行動を指すのか」「どこまでが許容範囲で、どこからが過剰サービスなのか」といった基準まで落とし込んでいったのです。
この作業を通じて、代表は「経営の軸をつくる」ということの本質を理解しました。それは、日々の小さな判断から、組織の進路を決める大きな判断まで、全てが一貫した基準で行えるようにすることです。軸が定まれば、経営者も社員も、迷うことなく判断できるようになります。
他社からの支援依頼が転機に
自社の理念を構築し、それに基づいて組織を再建していく中で、興味深い変化が起こりました。他社の経営者から「うちの会社の理念づくりも手伝ってほしい」という依頼が舞い込むようになったのです。
話を聞いてみると、多くの経営者が同じ悩みを抱えていることが分かりました。「思いはあるけれど、うまく形にできていない」「理念を作ったものの、社員に浸透していない」「言葉だけが先行して、実態が伴っていない」。
私たちが経験した苦しみは、決して特殊なものではありませんでした。むしろ、多くの中小企業が直面している共通の課題だったのです。この気づきから、「中小企業の経営者の思いをカタチにする」という、私たちの新しい使命が生まれました。
第3章:理念の可視化と習慣化がもたらす変化
可視化の具体的な方法
理念を明文化するだけでは、まだ十分ではありません。次に必要なのは「可視化」です。可視化とは、理念を目に見える形にし、日常的に触れられる状態にすることを指します。
私たちの会社では、理念を社内の様々な場所に掲示しました。オフィスの壁、会議室、社員の手帳、名刺入れ。目に入る機会を増やすことで、自然と意識に刷り込まれていきます。
また、理念カードを作成し、全社員に配布しました。このカードには、会社の理念だけでなく、それぞれの理念が具体的にどういう行動を意味するのかも記載されています。新しいメンバーが入社した時には、このカードを使って理念の説明を行います。
習慣化のプロセス
可視化の次に重要なのが「習慣化」です。習慣化とは、理念に基づいた判断や行動が、意識しなくても自然に行えるようになることを指します。
私たちが実践しているのは、朝礼での理念の読み合わせです。毎朝、全員で理念を声に出して読むことで、その内容が徐々に体に染み込んでいきます。最初は形式的に感じられても、続けることで意味が深まっていくのです。
また、月に一度、理念について語り合う時間を設けています。「今月、理念に基づいて行動できた場面はありましたか」「理念と実際の行動にギャップを感じた時はありましたか」。こうした対話を通じて、理念が単なる言葉ではなく、生きた指針になっていきます。
組織に現れた具体的な効果
理念の可視化と習慣化を進めていく中で、組織に明確な変化が現れました。
まず、意思決定のスピードが格段に速くなりました。以前は、一つの判断をするたびに代表に確認が必要でしたが、今では社員が自ら判断できるようになっています。理念という共通の基準があるため、「この場合はこう判断すべき」と自信を持って行動できるのです。
次に、社員のモチベーションが向上しました。自分の仕事が会社の理念にどう結びついているかが明確になることで、仕事への意義を見出せるようになったのです。「単に作業をこなしている」のではなく、「理念の実現に貢献している」と感じられることが、大きなやりがいにつながっています。
さらに、組織の一体感が生まれました。全員が同じ方向を向いているという実感があることで、チームワークが強化されました。困難な状況に直面した時も、理念を思い出すことで「私たちは何のために頑張っているのか」を再確認でき、乗り越える力が湧いてくるのです。
そして最も重要な変化は、社員の定着率が劇的に改善したことです。かつては全員が辞めてしまった会社が、今では長期的に働き続けてくれるメンバーに恵まれています。これは、組織に確固たる軸ができたことの何よりの証明です。
第4章:経営の軸を支える10の共創アプローチ
理念を構築し、それを組織に定着させるために、私たちem株式会社が大切にしている10の考え方があります。これらは、私たち自身が実践していることであり、クライアント企業の支援でも核となるアプローチです。
想像力を膨らませる
経営の軸は、現在だけでなく未来を見据えたものでなければなりません。「5年後、10年後、自社はどうありたいか」を具体的にイメージすることが出発点です。
私たちは、クライアント企業の経営者と対話しながら、「こうありたい」と願う未来の姿を一緒に描いていきます。単なる売上目標ではなく、「どんな会社になっていたいか」「社会にどんな影響を与えていたいか」といった本質的なビジョンを構築します。
創造力で実現する
描いたビジョンを「絵に描いた餅」にしないためには、実現力が必要です。理念やビジョンを具体的な行動計画に落とし込み、一歩ずつ実現していくプロセスを支援します。
例えば、「お客様に感動を届ける会社になりたい」というビジョンがあれば、「感動とは具体的に何か」「どんな行動が感動を生むのか」「それを測定する指標は何か」といった具体化を行います。
好奇心を発揮する
経営判断の一貫性は、停滞や固定化とは違います。環境は常に変化しており、新しい知見や手法を積極的に取り入れていく姿勢が必要です。
私たちは、常に前向きな姿勢を保ち、業界の最新動向や経営手法を学び続けています。そして、それをクライアント企業の成長に役立てる革新的な方法として提案していきます。
向上心で成長する
クライアント企業に最高の支援を提供するためには、私たち自身が立ち止まらずに成長し続ける必要があります。自己研鑽を怠らず、常に向上心を持つことで、より良い支援ができるようになります。
探究心で掘り下げる
組織の課題は、表面的な事象の裏に隠れていることがほとんどです。「社員が定着しない」という問題の背景には、理念の欠如や評価制度の問題、コミュニケーション不足など、様々な要因が絡み合っています。
私たちは、表面的な対症療法ではなく、根本原因を探究し、本質的な問題解決に取り組みます。この深掘りこそが、本当にブレない経営の軸づくりにつながります。
共感力でつなげる
経営者の思いが従業員に伝わらない状態では、組織は一体感を持ちません。私たちは、経営者の思いに深く寄り添い、その真意を理解することを大切にしています。
そして、その思いを従業員が理解できる言葉に翻訳し、橋渡しをします。経営者と従業員の間に立ち、双方の気持ちを理解し合えるようサポートすることで、組織全体の一体感を創出します。
誠実性を貫く
経営の軸を定めることは、短期的な取り組みではなく、長期的な視点を持つことです。そのため、支援者とクライアントの間には、長期的な信頼関係が不可欠です。
私たちは、常に正直で透明性のある関係を構築することを心がけています。良いことも悪いことも率直に伝え、誠実性を貫くことで、揺るぎない信頼関係を築いていきます。
革新性で挑戦する
一貫した経営判断を行うためには、既存の枠組みや慣習が足かせになっていないか、常に検証する必要があります。「今までこうだったから」という理由だけで続けていることは、本当に必要なのか。
私たちは、従来の構造に挑戦し、新しい経営モデルの構築に積極的に取り組みます。この革新性こそが、持続的な成長を可能にします。
チームワークで協働する
理念構築や組織文化の変革という大きな目標を達成するには、一人の力では限界があります。私たちは、チーム全体で協働し、多角的な視点と実行力を持って支援を提供します。
共創力を磨く
最も重要なのが「共創力」です。これは、経営者と支援者が対等なパートナーとして、お互いの強みを最大限に活かしながら、新たな価値を創造していくことを意味します。
私たちは、一方的に答えを提供するコンサルタントではありません。経営者の皆様と共に考え、共に悩み、共に創り上げていく。この共創の精神を通じて、理念の可視化と習慣化は、組織の隅々まで行き渡る強靭な経営の軸へと進化していくのです。
第5章:経営の軸がもたらす組織の未来
判断基準の統一がもたらす力
経営の軸が明確になると、組織のエネルギーは分散することなく、一つの目的に集中し始めます。これは、私たちが実際に経験した大きな変化です。
以前は、同じ案件に対しても社員によって異なるアプローチをとっていました。ある人は価格重視、ある人は品質重視、ある人はスピード重視。それぞれが正しいと思って行動しているのに、結果として統一感のない対応になってしまっていたのです。
しかし、経営の軸ができてからは、全員が同じ基準で判断できるようになりました。「お客様の長期的な利益を最優先する」という軸があれば、目先の利益を追うのではなく、本当にお客様のためになる提案ができます。全員が同じ方向を向いているという実感が、組織に強い推進力を与えてくれるのです。
潜在的価値の解放
中小企業の経営者には、多くの場合、強い思いや情熱があります。しかし、それを言語化し、形にすることが難しいために、その思いが十分に活かされていないケースが少なくありません。
軸が定まることで、経営者の「思い」や熱意が具体的な行動と結果につながります。社員も、経営者が本当に大切にしていることが分かるため、その実現に向けて主体的に動けるようになります。
これは、まさに潜在的価値の解放です。もともと持っていた力が、正しい方向に向けられることで、何倍もの成果を生み出すようになるのです。
持続可能な企業文化の育成
理念が習慣化されると、それは企業文化として根付いていきます。企業文化とは、「この会社ではこういう行動が当たり前」という、暗黙の行動規範のようなものです。
強い企業文化を持つ組織は、外部環境の変化に対しても柔軟に対応できます。なぜなら、判断の基準が明確だからです。新しい状況に直面しても、「私たちの理念に照らし合わせて考えれば、こうすべき」と判断できるのです。
また、企業文化が定着すると、社員の採用や育成も容易になります。面接の段階で理念に共感できる人材を選べますし、入社後も理念に基づいた教育ができます。結果として、社員の定着率が向上し、組織の安定化につながります。
経営者の負担軽減
経営の軸が明確になることで、実は経営者自身の負担も大きく軽減されます。以前は、あらゆる判断を経営者が下す必要がありました。小さなことから大きなことまで、全てに関与していたのです。
しかし、理念という判断基準が共有されれば、社員が自律的に判断できるようになります。経営者は、より重要な戦略的判断に集中できるようになり、日々の細かい判断からは解放されます。
これは、単に楽になるということではありません。経営者が本来注力すべきことに時間とエネルギーを使えるようになることで、会社全体の成長スピードが加速するのです。
結びに:未来を拓く経営者の皆様へ
私たちem株式会社は、かつて理念・目的・ビジョンを持たずに起業し、組織が崩壊するという痛烈な失敗を経験しました。全社員が退職し、一人で会社を立て直さなければならなくなった時、初めて「経営の軸」の重要性を心の底から理解したのです。
この苦い経験があったからこそ、私たちは今、自信を持って言えます。経営判断に一貫性をもたらす「経営の軸」は、中小企業が成長し、持続していくために絶対に必要なものです。
「思いはあるけれど、うまく形にできていない」「理念を従業員と共有し、組織文化を変革したい」とお考えの経営者の皆様。経営の軸は、単なるスローガンではありません。それは、貴社が真に成長し、社会に価値を提供し続けるための揺るぎない基盤です。
私たちは、自らの失敗と再生の経験を通じて得た知見を、同じ悩みを持つ経営者の皆様にお届けしたいと考えています。想像力と創造力を駆使し、理念の可視化と習慣化を徹底することで、組織を真に強くするための「経営の軸」を、貴社と共に創り上げていきたいのです。
経営の軸づくりは、一朝一夕にできるものではありません。しかし、着実に進めていけば、必ず組織は変わります。社員の表情が変わり、組織の雰囲気が変わり、そして業績も変わっていきます。
私たちと一緒に、貴社の未来を創っていきませんか。
特に、従業員30名以下で、これから組織を拡大・拡充したいとお考えの経営者の皆様からのご相談をお待ちしています。貴社の「思い」を形にし、強固な経営の軸を構築するお手伝いをさせていただきます。
日本の中小企業が持つ潜在的な価値を最大限に引き出し、一社でも多くの企業が持続的に成長していく。それが、私たちem株式会社の使命です。貴社の成長が、やがては日本経済全体の活性化につながっていく。そんな未来を、共に創造していきましょう。
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em株式会社(イーエムカブシキガイシャ)
代表取締役 郷司 光
経営理念:そうぞうの力で未来を描く
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Vision:革新的な日本型経営モデルの確立
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