現代のビジネス環境は、かつてないスピードで変化し続けています。技術革新が日々進み、市場のニーズは多様化し、働き方も大きく変わりました。このような時代において、企業が直面する課題は、もはや一つの部門や一人の経営者だけでは解決できないほど複雑になっています。
そこで注目されているのが「共創力」です。共創力とは、企業と外部の専門家が対等なパートナーとして協力し、お互いの強みを活かしながら新しい価値を生み出す力のことを指します。
単なる業務委託やコンサルティングとは異なり、共創では双方が深く関わり合い、共通の目標に向かって一緒に汗を流します。この記事では、共創力がなぜ今の時代に必要なのか、そしてどのように企業の成長を支えるのかを、具体的な事例を交えながら解説していきます。
なぜ今、共創が必要なのか:企業が抱える構造的な課題
多くの企業が、一時的には成功しても、その後成長が止まってしまうことがあります。その背景には、組織の根本的な問題が隠れていることが少なくありません。
理念の曖昧さが組織を弱くする
企業が長く続き、成長し続けるためには、明確な理念や目的、ビジョンが必要です。これは経営の基本中の基本ですが、実際には多くの企業がこの部分を曖昧にしたまま事業を進めています。
特に中小企業の場合、創業時に「まずはやってみよう」という勢いで始めることも多いでしょう。具体的な事業計画もなく、理念やビジョンも定まっていない状態でスタートすることは珍しくありません。
ある製造業の社長は、こう語っていました。「創業して10年、自分なりの考えは持っていたつもりでした。でも、従業員に話を聞いてみると、みんなバラバラの方向を向いていたんです。私の思いが全く伝わっていなかったことに気づいて、本当にショックでした」
このように、経営者が一貫した方針を持っているつもりでも、それが社員に伝わっていなかったり、社員によって解釈が異なっていたりすることがあります。これでは組織全体の一体感が生まれず、力が分散してしまいます。
経営者には強い「思い」があるのに、それをうまく形にできていない。この状態から抜け出すために、共創の力が役立ちます。外部の視点を取り入れることで、経営者の思いを客観的に掘り起こし、明文化することができるのです。理念を明確にし、経営の軸を作ることが、組織を強くする第一歩となります。
内向きの思考がもたらすリスク
企業が成長するにつれて、過去の成功体験に頼りがちになります。「これまでうまくいったやり方」に固執してしまい、新しい可能性を探ることを忘れてしまうのです。
内部の知識や経験だけに頼ると、既存の枠組みにとらわれてしまいます。その結果、目の前に見える表面的な課題にばかり目が行き、その奥にある本質的な問題を見逃してしまうことになります。
例えば、「売上が伸びない」という課題に対して、「もっと営業を頑張ろう」という解決策を考えるのは自然です。しかし、本当の問題は商品開発の方向性にあったり、社内のコミュニケーション不足にあったりするかもしれません。
共創力は、この内向きの思考を打破する力を持っています。外部の専門的な知見や、異なる業界の視点を取り入れることで、固定観念を揺さぶり、新しい経営モデルに挑戦する土壌を作ることができます。
相互の強みを活かす共創のプロセスは、単なる課題解決を超えて、組織の将来的な成長戦略そのものを革新する力を持っているのです。
共創力が新しい価値を生み出す仕組み
共創力が実際にどのように新しい価値を創造していくのか、そのメカニズムを詳しく見ていきましょう。
探究心と好奇心が生む「強みの融合」
共創は、単にリソースを共有したり、情報交換をしたりするだけではありません。お互いが得意とする分野や、組織が持つ真の課題を深く理解することから始まります。
まず大切なのが、探究心を持って掘り下げる姿勢です。支援者は、表面的な課題に留まらず、「なぜそうなっているのか」「本当の原因は何か」と問いかけ続けます。経営者と一緒に真の原因を探ることで、組織内部にある潜在的な強みや、これまで気づかれていなかった資産が明らかになっていきます。
ある飲食店の事例を紹介しましょう。この店の経営者は「集客が課題だ」と考えていました。しかし、共創のプロセスで深く掘り下げていくと、実は従業員のモチベーション低下が根本原因であることがわかりました。従業員が活き活きと働けるような環境を整えた結果、サービスの質が向上し、自然と口コミで客が増えていったのです。
次に重要なのが好奇心です。常に前向きに新しい知見を取り入れ、それを企業の成長に活かす姿勢が、共創による価値創造のインプットとなります。
外部のパートナーが持つ専門的な知識や最新のトレンド、そして経営者が持つ深い現場感覚。この両者が相互の強みとして結びつくことで、既存の枠組みでは考えられなかった革新的な方法を提案することが可能になります。
例えば、伝統的な製造業の企業が、デジタルマーケティングの専門家と共創することで、これまで届かなかった若い世代の顧客層にアプローチできるようになった事例もあります。経営者の持つ製品への深い理解と、専門家のデジタル知識が融合することで、新しい販路が開拓されたのです。
想像力と創造力が描く「未来の設計」
共創力は、現状を分析するだけでなく、組織が目指すべき理想的な未来を経営者と共に描き、実現する力を持っています。
まず、未来のビジョン構築をサポートします。共創を通じて、新しい可能性を常に探求し、未来の姿を描く想像力を膨らませることができます。経営者の深い「思い」を基盤としながら、客観的かつ革新的な視点を加えることで、組織全体が共有できる説得力のあるビジョンが構築されます。
あるIT企業の経営者は、「社員が幸せに働ける会社にしたい」という思いを持っていました。しかし、それをどう実現すればいいのかわかりませんでした。共創のプロセスを経て、「社員一人ひとりが自分の強みを活かせる組織」という明確なビジョンに昇華されました。このビジョンは社員全員に共有され、採用活動や人事制度の見直しにも活かされています。
次に、描かれたビジョンを具体的な行動計画に落とし込みます。アイデアを形にし、具体的な行動計画と実行支援により理想の企業文化を創り上げる創造力が発揮されます。
共創の関係性では、計画策定から実行フェーズまで、チーム全体で目標達成を目指します。単に計画を作って終わりではなく、実際に動き出すまで、そして成果が出るまで伴走するのが共創の特徴です。
例えば、ビジョンを実現するために必要な具体的なステップを、3ヶ月、6ヶ月、1年後というタイムラインで設定します。各ステップでどんな行動が必要か、誰が責任を持つか、どう評価するかまで、細かく設計していきます。そして定期的に進捗を確認し、必要に応じて軌道修正を行います。
共感力と誠実性が築く「信頼関係」
共創が機能するためには、経営者と支援者の間に深い信頼と相互理解が不可欠です。
まず、誠実性が信頼の基盤となります。共創による変革のプロセスは、組織のデリケートな部分に触れることになります。だからこそ、常に正直で透明性のある関係を構築し、長期的な信頼関係を育む必要があります。
経営者はリスクや課題をオープンにし、共に解決策を探ることができる環境があってこそ、本当の変革が可能になります。「こんなこと言ったら恥ずかしい」「弱みを見せたくない」という気持ちを乗り越えて、率直に話せる関係性が重要なのです。
ある建設会社の社長は、「最初は外部の人間に弱みを見せるのが怖かった」と話していました。「でも、誠実に向き合ってくれる姿勢を感じて、次第に本音で話せるようになりました。そこから本当の課題が見えてきたんです」
次に、共感力が相互理解を促進します。共創の目的は、外部のノウハウを押し付けることではありません。経営者の思いに寄り添い、従業員との架け橋となる共感力を発揮することで、外部の視点と内部の文化がスムーズに融合します。
例えば、経営者が「もっと社員に自主性を持ってほしい」と願っているとします。しかし、現場の社員は「指示を待つのが当たり前」という文化で育っています。この両者の間に立ち、経営者の思いを従業員に伝わる言葉に翻訳し、従業員の不安を経営者に理解してもらう。このような橋渡しの役割が、共創では重要になります。
この共感に基づく関係性が、組織全体の一体感を創出し、変革の推進力を高めていくのです。
共創力がもたらす戦略的な価値
共創力は、組織に対して複数の戦略的な価値をもたらします。それぞれを詳しく見ていきましょう。
深いパートナーシップによる信頼性の確立
共創の関係は、短期的な契約ではありません。組織の理念構築と文化定着という、長期的な変革を目的としています。
相互の強みを活かし、共同で価値を創造するプロセスは、単なるサービス提供者と顧客の関係を超えています。真のパートナーシップを築くことで、お互いが成長し続けることができます。
特に、誠実性を貫くことにより培われる長期的な信頼関係は、外部環境の予期せぬ変化や、変革の過程で生じる困難な局面においても、協働を継続するための強固な基盤となります。
ある小売業の企業では、コロナ禍という予期せぬ事態に直面しました。しかし、共創のパートナーと築いていた信頼関係があったからこそ、迅速にオンライン販売への転換を実現できました。「困難な時こそ、信頼できるパートナーの存在が大きかった」と経営者は振り返ります。
この持続的な信頼関係こそが、共創力の最も重要な成果の一つです。一時的な成果ではなく、長期的に企業を支え続ける関係性が生まれるのです。
専門性と権威性の具体的な発揮
共創を通じて新しい経営モデルの構築に挑戦することは、組織支援の専門性を具体的に証明することになります。
まず、潜在的な価値を引き出す能力が発揮されます。理念の可視化と習慣化の支援を通して、中小企業が持つ潜在的な価値を最大限に引き出す活動は、高度な組織開発の専門性を要求します。
共創により、この潜在価値の発見と実現が、経営者自身の知恵と融合して行われるため、より深いレベルでの変革が達成されます。外部から一方的に与えられた解決策ではなく、経営者と一緒に作り上げた解決策だからこそ、組織に深く根付くのです。
ある物流会社では、長年「人手不足」が課題でした。共創のプロセスで掘り下げていくと、実は社員の定着率の低さが根本原因であることがわかりました。そして、社員が誇りを持って働けるような理念を明文化し、評価制度を整えることで、自然と定着率が向上し、人手不足の問題も解消されていきました。この事例は、表面的な問題の奥にある真の課題を発見し、解決する専門性を示しています。
次に、革新的な成果が権威性を確立します。既存の枠組みにとらわれず、探究心と創造力を用いて共に生み出された新しい経営モデルの成功事例は、確固たる実績となります。
例えば、伝統的な製造業が、共創を通じて新しいビジネスモデルに転換し、売上を大きく伸ばした事例があります。このような具体的な成果が、他の企業からの信頼を得ることにつながります。
向上心による継続的な成長
共創の関係では、支援者自身も学び、成長することが求められます。私たち自身も成長し続けるという向上心が、共創の質を高めます。
共創を通じて得られた新しい知見や成功体験を、次のクライアントやプロジェクトに活かすことができます。ある業界で学んだことが、全く別の業界で新しい価値を生むこともあります。
この持続的な学習と成長のサイクルがあるからこそ、共創力は常に進化し、クライアントにも最適な成長の道筋を示すことができるのです。
例えば、ある飲食業での理念浸透の手法が、製造業でも応用できることがあります。業界は違っても、組織の本質的な課題は共通していることが多いからです。このような知見の横展開が可能になるのも、向上心を持って学び続けているからこそです。
共創力が導く持続可能な成長への道
相互の強みを活かし、経営者と共に新たな価値を創造する共創力は、組織の脆弱性を克服し、持続的な成功を実現するためのエンジンです。
理念の明文化から習慣化へ
共創を通じて、経営者の「思い」は理念の明文化という明確な「軸」となります。ただし、理念を作っただけでは意味がありません。それを組織全体に浸透させ、日々の行動に反映させることが重要です。
理念を習慣化するためには、具体的な取り組みが必要です。例えば、朝礼で理念を読み合わせる、評価制度に理念を反映させる、理念に基づいた行動事例を共有するなど、様々な方法があります。
ある介護事業所では、理念を明文化した後、毎月の会議で「今月の理念実践事例」を発表する時間を設けました。最初は戸惑っていた職員も、次第に理念を意識して行動するようになり、組織全体の一体感が生まれたといいます。
この強固な軸のもとで、企業の成長と発展を促進し、働く人々のやりがいを高め、持続可能な企業文化を育むことができます。
経営者の悩みに寄り添う実践的なアプローチ
共創力は、組織を拡大・拡充したいと願う経営者、特に「思い」はあるものの形にするのが難しいと感じている方にとって、理想の企業文化を実現するための最も効果的なアプローチです。
多くの経営者が、「こうしたい」という思いはあっても、それをどう実現すればいいかわからず悩んでいます。「社員に伝えたいことがあるのに、うまく伝わらない」「組織を変えたいけど、どこから手をつければいいかわからない」といった声をよく聞きます。
共創は、このような経営者の悩みに寄り添い、一緒に解決策を見つけていくプロセスです。答えを押し付けるのではなく、経営者の中にある答えを引き出し、形にしていくのです。
ある建設会社の社長は、「自分の頭の中にあったものを、言葉にして形にしてもらえた。それが本当にありがたかった」と話していました。思いを形にすることで、社員に伝わりやすくなり、組織全体が同じ方向を向けるようになったのです。
中小企業の潜在的な価値を最大化する
中小企業には、大企業にはない独自の強みがあります。意思決定の速さ、顧客との距離の近さ、柔軟な対応力など、様々な潜在的な価値を持っています。
しかし、多くの中小企業は、自社の強みに気づいていなかったり、それをうまく活かせていなかったりします。共創は、この潜在的な価値を最大限に引き出すプロセスでもあります。
ある地方の製造業では、長年培ってきた技術力が実は大きな強みであることに、共創のプロセスで気づきました。その技術をブランド化し、高付加価値商品の開発につなげることで、新しい市場を開拓することができました。
このように、共創を通じて自社の強みを再発見し、それを成長の原動力に変えることができるのです。
社会全体への波及効果
個々の企業の成長と発展は、最終的に日本経済全体の活性化につながります。中小企業は日本経済の基盤であり、その成長は地域社会の発展にも直結します。
ある地方都市では、一つの企業が共創によって成長したことがきっかけで、地域全体に好循環が生まれました。その企業が雇用を増やし、地域の若者が地元に残るようになり、他の企業にも良い影響を与えたのです。
共創力は、企業とパートナー、そして社会全体に利益をもたらす、戦略的な協働の力です。一つの企業の変革が、周囲に波及し、やがて社会全体の変化につながっていく。そんな可能性を秘めているのが共創なのです。
これからの時代に必要な協働のかたち
ビジネス環境がますます複雑化する中で、一人で、あるいは組織内部だけで全てを解決することは困難になっています。だからこそ、相互の強みを活かし、共に新しい価値を創造する共創力が、これからの時代に不可欠な力となります。
共創は、単なる手法やテクニックではありません。お互いを尊重し、信頼し、共に成長していこうという姿勢そのものです。この姿勢があれば、どんな困難な課題も、共に乗り越えていくことができます。
あなたの企業にも、まだ気づいていない潜在的な価値があるはずです。経営者としての「思い」を形にし、組織全体に浸透させることで、持続的な成長への道が開けます。
共創の力を活用して、理想の企業文化を実現し、働く人々がやりがいを持って成長できる組織を作る。それは決して夢物語ではなく、着実に実現できる未来なのです。
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em株式会社(イーエムカブシキガイシャ)
代表取締役 郷司 光
経営理念:そうぞうの力で未来を描く
Purpose:中小企業の魅力を引き出し国力を上げる
Vision:革新的な日本型経営モデルの確立
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